金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic)

【▲ 金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic)】

宵の明星・明けの明星として古くから親しまれてきた惑星「金星」。金星のサイズは地球とよく似ていますが、二酸化炭素が主成分の大気には分厚い硫酸の雲が広がり、地表は摂氏約480度、約90気圧という過酷な世界。最近では金星の大気からホスフィン(リン化水素)が検出されたとする研究成果が発表されていて、地表よりも気温が低い大気中に生命が存在する可能性が注目されています。

そんな金星をレーダーで観測し続けているJean-Luc Margot氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、UCLA)らの研究グループは、2006年から2020年までの15年間の観測データをもとに、金星の自転周期と自転軸の傾きをより正確に求めることに成功したとする研究成果を発表しました。

■金星の自転周期と自転軸の傾きをより正確に算出

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金星の自転周期は地球の8か月間に相当する約243日と長く、公転面(公転軌道が描き出す平面)に対して約2.7度傾きつつ、公転の方向とは逆向きに自転していることがすでに知られています。発表によると、今回判明した金星の正確な自転周期は「平均243.0226日」(243日と約32分33秒)、公転面に対する自転軸の傾きは「2.6392度」(赤道傾斜角に換算すると177.3608度)とされています。

ただし、金星の自転速度は毎回変化していて、各周期の長さには少なくとも20分の差が生じていたといいます。研究グループはこの差について、金星の大気による影響の可能性が高いと考えています。大気を持つ地球や金星の自転周期は大気の影響を受けて変動します(※)。地球の場合、大気の影響による自転周期の変動は毎回1ミリ秒(1000分の1秒)程度ですが、地球よりもはるかに重い大気を持つ金星ではその影響も大きくなるとされています。

※…地球や金星をめぐる大気の角運動量(回転運動の勢い)の変化が、大気と地表の摩擦を介して自転を変動させるため。

また、金星の自転に関する今回の精密な測定結果をもとに、研究グループは金星内部の核(コア)の半径を約3500kmと算出しました。これは地球の核(外核)のサイズとよく似ているものの、金星の核が固体と液体のどちらなのかはまだわからないとしています。

なお、15年に渡る研究グループの観測には、アメリカ航空宇宙局(NASA)の深宇宙通信ネットワークを構成するゴールドストーン局の70mアンテナと、グリーンバンク天文台の電波望遠鏡が用いられました。研究グループでは今後も金星のレーダー観測を続けるとともに、木星の衛星エウロパやガニメデの内部を探るための観測も検討しています。

 

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Image Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic
Source: UCLA / 国立天文台暦計算室
文/松村武宏

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