重力レンズ効果によって光(電磁波)の到着時間に差が生じることを解りやすく解説したイラスト。今回の研究では光源としてガンマ線バーストが使われた。(Image Credit:Carl Knox, OzGrav.)

【▲重力レンズ効果によって光(電磁波)の到着時間に差が生じることを解りやすく解説したイラスト。今回の研究では光源としてガンマ線バーストが使われた。(Image Credit:Carl Knox, OzGrav.)】

オーストラリア・メルボルン大学は3月30日、ジェームズ・ペインターさん率いる研究チームが、太陽質量の約55,000倍の質量を持つ、いわゆる中間質量ブラックホールを発見したと発表しました。研究チームでは、今回の研究成果は、恒星質量ブラックホールから超大質量ブラックホールへの進化を考えるうえで、非常に重要なものであると考えています。

恒星質量ブラックホール(普通のブラックホールで、その質量は太陽質量の数十倍以内におさまる)と超大質量ブラックホール(銀河の中心にある巨大ブラックホールで、その質量は太陽質量の100万倍以上になる)の間の質量を持つ中間質量ブラックホール(その質量は太陽質量の100倍から数十万倍ほどになる)はこれまでほとんど見つかっていません。

しかし、恒星質量ブラックホールが合体を繰り返して超大質量ブラックホールに進化するのならば、中間質量ブラックホールも存在するはずです。

そこで研究チームはこのような中間質量ブラックホールの探索に重力レンズ効果を利用して挑みました。

アインシュタインの一般相対性理論によれば、重い天体の周囲では空間が歪みます。そのため、地球と光源の間に重い天体があると、光(電磁波)が通った経路によって、光(電磁波)の地球への到着時間に差が生じます。逆に言えば、光源からの光(電磁波)の到着時間の差を調べれば、光源と地球の間に重い天体が存在するかどうかやその質量などが解るということになります。

今回、研究チームは光源としてガンマ線バーストを利用しました。ガンマ線バーストは、大規模な超新星爆発などに伴って発生する、宇宙最大規模の爆発現象で、数秒から数十秒に渡って、強烈なガンマ線(光(電磁波)の1種)が放射されます。

研究チームは、約2700個のガンマ線バーストのデータを分析し、そのうちの1つが、到着時間の差から、太陽質量の約55,000倍の質量を持つ、中間質量ブラックホールの近くを通過してきたと考えられることを突き止めました。

そして、さらに、研究チームによれば、今回の研究成果から、同時に、私達の天の川銀河の近辺だけでも、46,000個ほどの中間質量ブラックホールが存在すると見積ることができるといいます。

研究チームでは、今回発見された中間質量ブラックホールは、初期の宇宙において、ファーストスターやファーストギャラクシーが形成される前につくられた原始ブラックホールの可能性があり、超大質量ブラックホールの種(seeds)になった可能性があると考えています。

 

関連:光さえも脱出できないほど重力が強い天体「ブラックホール」とは?

Image Credit: Carl Knox, OzGrav.
Source: メルボルン大学プレスリリース論文
文/飯銅重幸

 オススメ関連記事