こちらは「ふたご座」の方向にある星形成領域「AFGL 5180」の赤外線による観測データをもとに作成された疑似カラー画像です。星形成領域とは、ガスや塵などが集まった低温で高密度な分子雲のなかで星が形成されている場所のことを指します。画像の赤みがかった色合いに着色された姿が印象的なAFGL 5180は、どこか翼を広げた不死鳥を思わせます。
星形成領域は塵が豊富であるために内部や向こう側から発せられた可視光線は遮られやすいものの、赤外線を利用することで塵に隠された若い星々を観測することができます。欧州宇宙機関(ESA)によるとAFGL 5180の中央付近では大質量星の形成が進んでいて、画像の右上と左下に向けてジェットが放出されており、分子雲に空洞が生じているといいます。
新たな星々が生み出される星形成領域は「星のゆりかご」と表現されることもあります。星形成領域の研究は、私たちが住む太陽系の形成についての手がかりを得ることにもつながります。画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって観測されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2021年3月8日付で公開されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. C. Tan (Chalmers University & University of Virginia), R. Fedriani (Chalmers University)
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏