ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたP/2019 LD2の画像。尾を引いているのがよく解る(Credit: NASA, ESA, and B. Bolin (Caltech))

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたP/2019 LD2の画像。尾を引いているのがよく解る(Credit: NASA, ESA, and B. Bolin (Caltech))

NASAは2月26日、木星のトロヤ群の近くでトロヤ群の小惑星と一緒に太陽の周りを公転している彗星が確認されたと発表しました。木星のトロヤ群の近くでこのような彗星が確認されたのはこれが初めてとなります。

太陽と木星の引力がつりあい、小惑星などが力学的に安定して存在できるポイントがいくつかあります。それらのポイントのうちの2つは、木星の軌道上に、木星の前に1つ、木星の後ろに1つあり、それぞれ力学的に安定しているために、たくさんの小惑星が集っています。その数は7000個以上にもなります。これらの小惑星の集まりを木星のトロヤ群といいます。

一番外側を回っている橙色の点が木星、その前後を回っている緑色の点が木星のトロヤ群の小惑星になる(Image Credit:Southwest Research Institute)

今回確認された彗星(以下、P/2019 LD2=LD2)は、木星の前方に位置するトロヤ群の近くにあり、トロヤ群の小惑星と一緒に、太陽の周りを公転しています。木星のトロヤ群の近くでこのような彗星が確認されたのはこれが初めてとなります。

LD2は2019年にハワイ大学の小惑星地球衝突最終警報システムの望遠鏡によって初めてその存在が確認されました。そして、その後、アメリカ、カルテックのブライス・ボリンさん率いる研究チームは、スピッツァー宇宙望遠鏡(現在運用終了)による追加観測などをおこなってきましたが、ついに、ハッブル宇宙望遠鏡の鮮明な視界に助けられて、LD2の尾、コマの構造、ダストの大きさや噴き出す速さなどを確定し、これらがその特徴から比較的最近の彗星によくみられる活動によるものであることを確認しました。ちなみに、彗星のコマとは、太陽によって熱せられることにより彗星の核から噴き出したガスやダストからつくられる、いわば彗星の大気のようなものです。

LD2の故郷は、カイパーベルトの可能性が高く、研究チームのシミュレーションによれば、LD2は、2年ほど前にカイパーベルトから太陽に向かって落下する途中で木星の引力によって捕えられましたが、これからおおむね2年以内に、木星の引力の影響によって、再び太陽に向かって落下し始める可能性が高いそうです。そして、おおむね50万年以内には、90%の確率で、太陽系から弾き出されて、恒星間彗星になると考えられるといいます。

LD2が木星のトロヤ群の近くにいるのは一時なものというわけです。

 

 

Image Credit: NASA, ESA, and B. Bolin (Caltech)/Southwest Research Institute
Source: NASA論文
文/飯銅重幸

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