潮汐作用で破壊され、白色矮星へと降り積もっていく岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

潮汐作用で破壊され、白色矮星へと降り積もっていく岩石惑星の破片を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

ウォーリック大学のMark Hollands氏らの研究グループは、4つの白色矮星の外層から、かつて岩石惑星の地殻に含まれていたとみられる物質が検出されたとする研究成果を発表しました。

太陽と比べて質量が8倍以下の恒星は、その晩年に赤色巨星へと進化して周囲にガスや塵を放出します。やがてガスを放出しきった赤色巨星は核融合で輝くことを止めてコア(中心核)だけが残り、白色矮星に進化すると考えられています。核融合をしない白色矮星は予熱で輝く天体なので、恒星としては死を迎えた姿ともいえます。

今回研究グループは欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」やアパッチポイント天文台のサーベイ観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)」の観測データをもとに、「LHS 2534」をはじめ全部で4つの白色矮星のスペクトル(波長ごとの電磁波の強さ)を調べました。元素には特定の波長の光を吸収する性質があるため、白色矮星のスペクトルを分析することで、そこにどんな元素が存在するのかを知ることができます。

研究グループによる分析の結果、4つすべての白色矮星からリチウムが、LHS 2534ではリチウムに加えてカリウムが検出されたとされています。同様に検出されたナトリウムやカルシウムに対するリチウムとカリウムの比率は、地球や火星のような岩石惑星の地殻を構成していた物質が気化して白色矮星のガス状の外層で200万年に渡り混ざりあったとすれば説明できるといいます。

研究グループは検出されたリチウムやカリウムについて、白色矮星に降り積もった岩石惑星の地殻の破片を示すものだと考えています。これまでにも白色矮星の大気中からはケイ素といった惑星のマントルやコアを構成する物質が検出されたことがありましたが、Hollands氏によると岩石惑星の地殻を示す決定的な検出はなかったといいます。いっぽう、惑星のマントルやコアにリチウムやカリウムは高濃度では含まれておらず、地殻の物質を示す良い指標になるとHollands氏は言及しています。

発表によると、白色矮星の外層に含まれる破片の質量は最大30万ギガトン(最大60ギガトンのリチウムおよび3000ギガトンのカリウムを含む)、地球の地殻と同じ密度になるように集めれば直径60kmの球体が出来上がる量だと推定されています。研究グループは赤外線による観測データも踏まえた上で、白色矮星の大気中に存在しているのは惑星の破片のごく一部であり、白色矮星を取り囲む円盤から継続的に惑星の破片が落下し続けている可能性を指摘しています。

また、今回の研究対象となった白色矮星は核融合を止めてから約50億~100億年が経っており、一部は恒星として形成されたのが110億~125億年前という天の川銀河でもかなり早い段階で誕生した星とみられています。研究に参加したウォーリック大学のPier-Emmanuel Tremblay氏は、知られているもののなかでも最も古い時代に形成された惑星系の1つだと語ります。

さらに、4つの白色矮星のうち1つはかつて太陽の5倍近い質量を持つB型星だったと推定されています。恒星は質量が大きいほど寿命は短くなるため、B型星の寿命は太陽よりも短く、場合によっては太陽の100~1000分の1程度しかありません。短命な恒星が進化した白色矮星から惑星の痕跡を検出した今回の成果についてTremblay氏は「惑星がどれだけ速やかに形成され得るかについての重要な知見をもたらす記録的な発見です」とコメントしています。

 

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Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick
Source: ウォーリック大学
文/松村武宏

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