主星「WASP-107」(奥)の手前を系外惑星「WASP-107b」が横切る様子を描いた想像図(Credit: ESA/Hubble, NASA, M. Kornmesser)

主星「WASP-107」(奥)の手前を系外惑星「WASP-107b」が横切る様子を描いた想像図(Credit: ESA/Hubble, NASA, M. Kornmesser)

モントリオール大学のCaroline Piaulet氏らの研究グループは、直径が木星と同程度で質量が木星の約10分の1しかない太陽系外惑星「WASP-107b」に関する研究成果を発表しました。研究グループによると、木星や土星のような巨大なガス惑星は従来の想定よりも形成されやすい可能性があるようです。

WASP-107bは「おとめ座」の方向およそ212光年先にある恒星「WASP-107」を約5.7日周期で公転しています。前述のようにWASP-107bの直径は木星とほぼ同じですが、質量は木星の約10分の1(地球の約30倍)と軽く、その平均密度は1立方cmあたり約0.13gと算出されています。

「水に浮かぶ」と表現される土星の平均密度は1立方cmあたり約0.69gとされていますが、系外惑星のなかには平均密度が1立方cmあたり0.1gを下回るとみられるものも見つかっていて、WASP-107bのように平均密度が低い系外惑星は研究者から「cotton-candy(コットンキャンディ、綿菓子)」「super-puff(スーパーパフ)」のようだと表現されています。

WASP-107bの内部構造を分析した研究グループは、ガスの層に囲まれた固体のコア(核)の質量は地球の4倍以下で、WASP-107bの質量全体のうち85パーセント以上はガスの層が占めていると結論付けました。これに対し、質量がWASP-107bに比較的近い海王星(質量は地球の約17倍)では、ガスの層の質量は全体の5~15パーセントを占めるに留まるといいます。

惑星は若い星を取り囲む原始惑星系円盤のなかで形成されると考えられています。研究に参加したマギル大学のEve Lee氏は、WASP-107bが「円盤内のガスが十分に冷たくて急速に降り積もる主星から遠い環境で形成された後に、主星に近い現在の軌道へと移動した」可能性を指摘しています。

実は今回の研究において、WASP-107bの外側を周回する別の系外惑星「WASP-107c」が新たに見つかっています。WASP-107cの質量はWASP-107bの約3倍(木星の約3分の1)で、公転周期はWASP-107bよりもずっと長い約3年とされています。

注目はその軌道で、真円よりも楕円に近い少しつぶれた形(離心率は約0.28)をしているとみられています。研究グループではWASP-107cの楕円形の軌道について、WASP-107bの大規模な移動につながる惑星どうしの相互作用を示唆するものと捉えており、Piaulet氏は「混沌とした過去を物語っています」と語ります。

また、木星や土星をもとにした従来の理論では、原始惑星系円盤のなかで惑星に大量のガスが降着するには、地球の10倍以上の質量がある固体のコアが必要だと考えられてきたといいます。これに対し、WASP-107bのコアの質量はその半分以下しかありません。

研究に参加したモントリオール大学のBjörn Benneke氏は今回の成果について「巨大惑星がいかにして形成・成長するのかという基礎に取り組んだものであり、従来の想定よりもはるかに軽いコアに対してガスの降着が起こり得る具体的な証拠を提示するものです」とコメントしています。

 

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Image Credit: ESA/Hubble, NASA, M. Kornmesser
Source: モントリオール大学
文/松村武宏

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