100年で10回も超新星が見つかった、北天に輝く「花火銀河」の姿
赤外線で観測された渦巻銀河「NGC 6946」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Leroy, K. S. Long)
赤外線で観測された渦巻銀河「NGC 6946」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Leroy, K. S. Long)

こちらは「ケフェウス座」と「はくちょう座」の間、およそ2500万光年先にある渦巻銀河「NGC 6946」です。NGC 6946は地球に正面(真上もしくは真下)を向ける位置関係にあり、数多くの星が集まった中心部分の明るいバルジや、バルジを取り巻く渦巻腕を観測しやすい銀河のひとつです。

渦巻銀河のなかには天の川銀河のようにバルジから双方向に棒状の構造が伸びているものがあり、棒渦巻銀河と呼ばれています。NGC 6946にも棒状構造があるのですが、棒渦巻銀河に見られるものほどしっかりしてはおらず、渦巻銀河と棒渦巻銀河の中間にあたる銀河(intermediate spiral galaxy)に分類されています。

NGC 6946は短い期間で大量の星が形成されるスターバースト銀河としても知られています。活発な星形成活動を反映して、NGC 6946では1917年7月から2017年5月にかけて合計10例の超新星が見つかっています。欧州宇宙機関(ESA)によると私たちが住む天の川銀河における超新星は平均して100年に1~2回の出来事とされていますから、その5~10倍という頻度です。このことから、NGC 6946は「Fireworks Galaxy(花火銀河)」とも呼ばれています。

また、2017年にはNGC 6946において超新星とは異なる「超大光度X線源(ULX:ultraluminous X-ray source)」が観測されています。「NGC 6946 ULX-4」と呼ばれるこのX線源はわずか20日間ほどの間に素早く出現・消滅しており、ブラックホールや中性子星が関係していることが考えられるといいます。

関連:NASAのX線宇宙望遠鏡が「花火銀河」で正体不明のX線源を発見

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって赤外線の波長で観測されたもので、同望遠鏡の今週の一枚としてESAから2021年1月4日付で公開されています。

 

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Leroy, K. S. Long
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏