アレシボ天文台の巨大な電波望遠鏡が崩壊する瞬間を捉えた動画より(Credit: Arecibo Observatory, NSF)

大西洋標準時12月1日7時55分頃(日本時間では同日20時55分頃)、プエルトリコのアレシボ天文台で運用されてきた直径305mの電波望遠鏡が崩壊してしまいました。全米科学財団(NSF)は12月3日、3本のタワーからケーブルを介して支えられていた重さ約900トンのプラットフォームが落下し、望遠鏡が崩壊した瞬間を捉えた2本の動画を公開しました。次の動画はAstronomy Picture of the Dayから2020年12月9日付で公開されているもので、2本の動画が1つにまとめられています。

1つ目の動画は地上に設置されたカメラで撮影されたもので、3本のタワーのうち、2020年8月10日と11月6日に損傷したケーブルがどちらも繋がっていたタワーが奥のほうに見えています。映像には、タワーに繋がるケーブルが切れて轟音とともにプラットフォームが落下する様子や、タワーの最上部が折れて落ちていく様子がはっきりと捉えられています。

2つ目の動画は、相次いでケーブルが損傷したタワーの最上部を監視していたドローンが撮影したものです。NSFによると1本のメインケーブルは約160本のワイヤーが束ねられた構造をしていますが、映像では中央付近に見えるメインケーブルの1本でワイヤーの一部が切れたように見えた数秒後、そのケーブルが爆ぜるように断線し、間もなく他のケーブルも次々と切れていった様子が捉えられています。オペレーターによってドローンの向きが変えられてカメラが主鏡の方向を捉えた頃には、すでにプラットフォームが地上へ落下してしまっています。

アレシボ天文台の305m電波望遠鏡は11月中に廃止と解体の方針が示されており、予期せぬタイミングで崩壊する可能性も指摘されていました。同望遠鏡は57年間に渡る歴史において、水星の自転周期(約59日)が公転周期(約88日)とは一致していないことの発見、おうし座の超新星残骸「かに星雲」の中心にある「かにパルサー」の自転周期が約33ミリ秒であることの発見、世界初の連星パルサーの発見、パルサーを周回する太陽系外惑星の発見(世界初の系外惑星の発見)といった重要な研究成果に貢献しています。

なお、アレシボ天文台そのものは今後も存続し、12m電波望遠鏡や上層大気の観測を行うLIDARの運用などが継続される予定です。

 

関連:復旧を断念したアレシボ天文台の巨大な電波望遠鏡、解体を待たず崩壊

Image Credit: Arecibo Observatory, NSF
Source: APOD / NSF
文/松村武宏

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