火星の全景。1970年代にバイキングオービターズによって撮影された100以上の画像から作成されている。

火星の全景。1970年代にバイキングオービターズによって撮影された100以上の画像から作成されている。(Credit:NASA)

ラトガース大学のルジェンドラ・オジャ準教授などからなる研究チームは12月2日、古代の火星に存在したと考えられている豊富な液体の水は厚い氷床の底が地熱によって溶かされつくられた地下水によって供給された可能性があると発表しました。その観点から、研究チームでは、古代の火星において生命の生存に最も適した場所はその表面から地下3~5kmほどにまで達するだろうと考えています。

41億〜37億年ほど前の古代の火星にはその表面に豊富な液体の水が存在したと考えられています。水の流れによってつくられたとみられる地形(川床、湖底、三角州など)や水の作用によってつくられた鉱物などがたくさん見つかっているためです。

しかし、その反面で、当時、太陽の明るさは現在よりも30%ほど低かったと考えられています。

そのため、これに基づいてつくられた気象モデルと、地質学的な証拠に基づいて考えられる気候が一致せず、多くの研究者の頭を悩ませてきました。

このギャップを埋めるために研究チームが着目したのが”地熱”です。火星や地球、金星のような岩石惑星では、内部の岩石に含まれるウラン、トリウムなどの放射性物質が自然に崩壊し熱が発生します。

そこで、研究チームは、まず理論的なモデルを構築し、冷たく乾燥した火星において、厚い氷床の底が溶かされるために必要な地下から地表に放出れる地熱の量を見積りました。そして、さらにこれまで蓄積されてきたさまざまな火星に関するデータに基づいて検証した結果、41億〜37億年ほど前の古代の火星においては、厚い氷床の底の氷が地熱によって溶かされうる条件が全火星規模で整っていたと考えられることが解りました。

地球では、南極、カナダの北極圏、グリーンランドなどにある厚い氷床の下に地熱によってつくられた湖がたくさんみつかっていて、生命の存在も確認されています。研究チームでは、もしも古代の火星に生命が誕生していたら、このような場所に逃げ込んで現在も生き延びているかもしれないと考えています。

もしかしたら、火星の地下には気候変動から逃げのびた生命が今も生き残っているかもしれませんね。

ダオ・ヴァリスと呼ばれる液体の水によって削られた河床。見やすいように、垂直方向に強調され、着色されている。(Image Credit:ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO. 3D rendered and colored by Lujendra Ojha)

 

Image Credit: NASA/ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO. 3D rendered and colored by Lujendra Ojha
Source: ラトガース大学論文
文/飯銅重幸

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