「NGC 1052-DF4」の周辺の画像。NASAの画像をトリミングして作成。(Image Credit:ESA/Hubble, NASA, Digitized Sky Survey 2; Acknowledgment: Davide de Martin)

オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のミレイア・モンテスさんなどからなる国際研究チームは11月26日、ほとんどダークマターが存在しない銀河「NGC 1052-DF4」について、近くのより巨大な銀河の重力によってダークマターがはぎ取られてしまったためだと考えられると発表しました。

これまで、宇宙は、主に、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波などの電磁波によって観測されてきました。ところが、ダークマターは、電磁波を出さず、電磁波による観測ができません。そのため、ダークマター(暗黒物質)と呼ばれ、その正体は謎に包まれてきました。

しかし、近年、このダークマターが銀河の形成に大きな役割を果したことが解ってきました。

銀河が形成されるときに、まず、ダークマターが自らの重力によって集まります。そして、その集まったダークマターの重力によって、周りの水素などのガスが集り、銀河が形成されると考えられているのです。いわばダークマターは銀河の土台というわけです。そのため、例えば、私達の天の川銀河もその質量の約9割はダークマターで占められています。

ところが、このようなダークマターがほとんど存在しない銀河がいくつか発見されています。その1つがNGC 1052-DF4です。

では、なぜ、NGC 1052-DF4にはダークマターがほとんど存在しないのでしょうか?

研究チームは、その原因を解明するために、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の天文台の望遠鏡を使って、NGC 1052-DF4の周りにある球状星団の分布NGC 1052-DF4からやってくる光を詳しく調べました。すると、それらの球状星団やその他の物質が近くにあるより巨大な銀河NGC 1035に呑み込まれつつあることが解りました。

つまり、恒星達は銀河の中心部に集まっていますが、ダークマターは銀河全体にひろく広がっています。そのため、NGC 1035の重力によって、まず、ダークマターが、はぎ取られ、呑み込まれてしまったというわけです。

研究チームによれば、これから恒星達もNGC 1035に呑み込まれていき、やがてNGC 1052-DF4は完全にNGC 1035に引き裂かれ呑み込まれてしまうそうです。

 

Image Credit: ESA/Hubble, NASA, Digitized Sky Survey 2; Acknowledgment: Davide de Martin
Source: NASA論文
文/飯銅重幸

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