こちらはケフェウス座の方向およそ1100光年先にある星雲「vdB 141」(Sh2-136)です。その外見が幽霊を連想させるとして「Ghost Nebula(ゴースト星雲、幽霊星雲)」とも呼ばれています。全体の雰囲気もさることながら、左側の茶色い部分が立ち上がった人影のようにも見える不思議な姿をしています。
星雲にはいろいろな種類がありますが、vdB 141はガスや塵の集まりである分子雲が恒星の光を反射することで輝く反射星雲に分類されています。vdB 141の内部には幾つかの星が存在していて、その光が星雲に茶色い色合いを与えているといいます。
様々な姿をしている星雲は似た形の何かに例えられることが多く、カシオペヤ座の「IC 63」もvdB 141と同様にGhost Nebulaと呼ばれています。soraeではこれまでにも幽霊(ゴースト)を連想させる星雲としてIC 63をはじめ、へびつかい座の「小さな幽霊星雲」(Little Ghost Nebula、NGC 6396)、かじき座の「ゴーストヘッド星雲」(Ghost Head Nebula、NGC 2080)を紹介しています。
冒頭の画像はアメリカのキットピーク国立天文台にある口径4mのメイヨール望遠鏡によって2009年8月28日に撮影されたもので、米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)から2020年6月30日付で公開されています。
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Image Credit: T.A. Rector/University of Alaska Anchorage, H. Schweiker/WIYN and NOIRLab/NSF/AURA
Source: NOIRLab
文/松村武宏