日の出や日の入りで見られるグリーンフラッシュは「月・金星・水星」にも
太陽、月、金星、水星のグリーンフラッシュ
太陽、月、金星、水星のグリーンフラッシュ
太陽、月、金星、水星のグリーンフラッシュ

晴れた日の夕方、太陽が地平線や水平線に没する直前、一瞬だけ太陽面の頭頂部付近で緑色の閃光を見ることがあります。この現象は「グリーンフラッシュ(緑閃光:りょくせんこう)」と呼ばれています。

グリーンフラッシュは太陽光(可視光線)が地球の大気で屈折されて発生することで知られています。夕方は太陽光の大気を横切る距離が長くなります。そのため緑色の光は波長が短く屈折率が大きいので大気中で散乱されてしまいます。しかし波長の長い赤色に近い光は散乱されず地上に届きます。夕日が赤いのはそのためです。しかし、空気が非常に澄んでいるなど条件が良ければ、緑色の光が散乱されずに地上に届きグリーンフラッシュを引き起こします。

太陽だけでなく月や金星、水星によるグリーンフラッシュも難しいですが観測することが可能です。望遠鏡や望遠レンズを使えば、天体が地平線や水平線の近くにあるとき、冒頭の画像のような魅惑的なグリーンフラッシュを撮影することができます。画像の上段は、太陽(左上)と月(右上)のグリーンフラッシュで、それぞれ2019318日、202058日にシチリア島で撮影。また、下段は2020524日の黄昏時に西の地平線上に現れた金星(左下)と水星(右下)のグリーンフラッシュで、地中海の島で撮影されました。ちょうどこの頃、金星と水星が西の空で接近していました。

【参考】沈む太陽の連続写真。沈む直前の数秒間に発生する(Aleksandar Cikota / ESO)

なお、2020年11月には、東京の府中市で珍しくグリーンフラッシュが観測されるなど、SNSを中心に話題を呼んでいます。もしグリーンフラッシュの観測を試みる場合の注意点ですが、太陽を肉眼またはレンズ越しに直接見ると、目に悪影響を及ぼす可能性がありますので、必ず太陽の光を減光する物を使ったり沈む直前までは直接見ないように気をつけましょう。

 

Image Credit: Marcella Giulia Pace
Source: APOD https://apod.nasa.gov/apod/ap200530.html
文/吉田哲郎

最終更新日:2020/11/27

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