放射性元素の量が異なる3つのケースを描いた図。上:放射性元素が多く火山は活発だが磁場を持たない惑星。中:磁場を持ち地質活動も生じている地球のような惑星。下:放射性元素が少なく磁場は持つが地質活動が生じない惑星(Credit: Melissa Weiss)

カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のFrancis Nimmo氏らの研究グループは、惑星に含まれる放射性元素が生命の居住可能性に及ぼす影響を調べた研究成果を発表しました。研究グループによると、放射性元素の量が居住可能性を左右する重要な要素となっている可能性があるようです。

■放射性元素が少なすぎると地質活動が生じず、多すぎると磁場が生成されない可能性

地球の内部にはウラン(U)トリウム(Th)といった放射性元素が含まれていて、これらの元素が崩壊する時に放出されたエネルギーは最終的に熱(崩壊熱)となります。放射性元素の崩壊熱は惑星内部を加熱し、磁場を生み出している液体金属の核(コア)の対流や、プレートテクトニクスをはじめとした地質活動に関わっていると考えられています。

研究グループは放射性元素の崩壊熱が惑星の磁場や地質活動とどのように関係しているのかを調べるために、地球をモデルとした惑星の熱進化のシミュレーションを行いました。研究グループによると、放射性元素が少ないケースでは磁場が形成されたとしても火山活動が起こらず、地質学的に死んでいるような惑星になるといいます。

また、放射性元素が多いケースでは地質活動が盛んで多くの火山が活動するものの、放射性元素を多く含むマントルが保温材となって核から熱が逃げにくくなり、核で対流が起きずに磁場が生じないといいます。このような惑星では火山活動が原因の大量絶滅もひんぱんに起きる可能性があるとされています。

火山の噴火は大気を構成するガスを放出し、液体金属の核が生成する磁場は大気を保護することから、放射性元素の崩壊熱は大気の生成と維持の双方に関わっていることになります。「複雑な話です」と語るUCSCのNatalie Batalha氏は、生命の居住可能性を考える上で、惑星のプレートテクトニクスを維持しつつ磁場の生成を妨げない程度の崩壊熱が必要だと指摘します。

研究に参加したUCSCのJoel Primack氏は、放射性元素も元をたどれば中性子星どうしの衝突・合体によって生じる現象「キロノバ」にともなうr過程で生成されたもので、キロノバが発生した場所にどれだけ近いかによって恒星や惑星の形成時に取り込まれる放射性元素の量も異なることが予想されると語ります。また、惑星に含まれる放射性元素が多いか少ないかといった傾向は、ウランやトリウムなどとともにr過程で生成されると考えられているユーロピウム(Eu)の恒星における含有量をもとに推測できるといいます。

Nimmo氏は、今回のモデルは簡略化されたものであり、崩壊熱がもたらす影響の重要性を調べるにはより詳細な計算が必要だとコメント。2021年10月に打ち上げが予定されている次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」による太陽系外惑星の大気の観測結果と恒星で検出されたユーロピウムの値をもとに、放射性元素の量が異なるさまざまな惑星の環境を調べたいとしています。

 

関連:恒星がなくたって。自由浮遊惑星でも表面に液体を保持できる可能性

Image Credit: Melissa Weiss
Source: UCSC
文/松村武宏

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