こちらの天体は「ろくぶんぎ座」の方向およそ4900万光年先の渦巻銀河「UGCA 193」です。ESA(欧州宇宙機関)はまるで画像の上から下へと流れ落ちているようにも見えるUGCA 193の姿を滝にたとえて「A Waterfall of Stars(星々の滝)」と表現しています。
水を連想させる青い色は、表面温度が高い星々の輝きです。恒星の色は表面温度と関係があり、低温の星ほど赤く、高温の星ほど青く輝きます。太陽の表面温度は摂氏約6000度ですが、質量が大きなO型星の表面温度は摂氏3万~5万度、O型星よりも小さなB型星でも摂氏1万~3万度に達するといいます。
また、恒星は質量が大きいほど寿命が短いとされています。太陽の寿命は約100億年で、現在はその半ばに差し掛かっていると考えられていますが、太陽と比べて10倍重い星(B型星の範囲)の寿命は約1000万年とみられています。銀河の青い輝きは、そこに大質量の若い星々が存在することを示しているわけです。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」によって可視光線の波長で観測され、2020年11月2日に「今週の一枚」として公開されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Tully
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏