NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」によって極端紫外線の波長で撮影された太陽(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/SDO)

草野完也氏(名古屋大学宇宙地球環境研究所)らの研究グループは、太陽の表面や大気で発生する爆発現象「太陽フレア」のなかでも規模の大きなフレアの発生を正確に予測できる物理モデルの開発に成功したと発表しました。

太陽フレアは時として人類の活動に影響を及ぼすことがあります。たとえば1859年9月に発生した大規模なフレアは、当時の欧米に普及していた電信網に被害をもたらしました。このような規模のフレアが通信網や電力網の発達した現代において発生すれば甚大な被害が生じるとも予想されており、地球環境や人類の活動に影響を及ぼす太陽フレアをはじめとした宇宙天気現象を予報するための取り組みが進められています。

今回、研究グループは電磁流体力学理論にもとづき、黒点付近において磁力線がつなぎ替わる「磁気リコネクション」と呼ばれる現象をきっかけとした太陽フレアの発生を予測する物理モデルを開発。NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」による観測データをこの物理モデルで解析したところ、過去10年間で発生した9つの大規模なフレアのうち7つについて、発生する場所も含めて正確に予測することができたとしています。

研究グループによると、これまで太陽フレアの発生を予測するには黒点の大きさや形、太陽活動領域(磁場が強くX線などで明るく輝く領域、黒点をともなうことが多い)の磁場の形態などをもとにした経験的な方法が用いられてきたものの、今回の研究ではフレアの発生を物理法則にもとづいて予測することに初めて成功したといいます。研究グループでは、より小規模なフレアが発生するプロセスの解明には課題が残るとしつつも、今回の成果が宇宙天気予報の精度向上につながるとして期待を寄せています。

 

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/SDO
Source: NASA / 名古屋大学
文/松村武宏

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