スーパーフレアを描いた想像図

しし座AD星(右下)で発生したスーパーフレアを描いた想像図。黒点の近くにある白い部分がスーパーフレア(Credit: 国立天文台)

恒星の表面で発生する爆発現象「フレア」のなかでも、特に大規模なものは「スーパーフレア」と呼ばれています。今回、太陽に比較的近い赤色矮星「しし座AD星(AD Leonis)」で発生したスーパーフレアの検出に成功したとする研究成果が発表されています。

■太陽フレアの知識をもとにスーパーフレアを議論することが可能に

行方宏介氏(京都大学)らの研究グループは、京都大学岡山天文台の「せいめい望遠鏡」などによるしし座AD星の観測の結果、太陽における最大級のフレアよりも20倍ほど大きなエネルギーを持つスーパーフレアを検出したと発表しました。

しし座AD星は「しし座」の方向およそ16光年先にある赤色矮星で、ひんぱんにフレアが発生していることが知られています。フレアの高い発生頻度に注目した研究グループがしし座AD星を8夜半に渡り観測したところ、全部で12件のフレアを検出。前述のスーパーフレアはそのうちの1つだったといいます。

研究グループが観測データを分析した結果、スーパーフレアにともなう放射や高エネルギー電子の実例が得られただけでなく、その振る舞いや時間の経過にともなう変化から、スーパーフレアも太陽フレアと共通の性質を示すことが判明したといいます。スーパーフレアの発生や惑星への影響を評価する上で太陽フレアに関する知識を役立てられることが、今回の研究によって明らかにされたことになります。

昨年、「太陽でも数千年に一度という確率でスーパーフレアが発生し得る」ことを明らかにした研究成果が、今回の研究にも参加している野津湧太氏らによって発表されています。今回の研究グループは、たとえスーパーフレアではなかったとしても、過去に観測された最大級の太陽フレアがいま発生すれば1~2兆ドルに相当する被害が人類社会にもたらされるという推定に言及。その上で、今回検出されたしし座AD星での実例をもとに、スーパーフレアのような宇宙災害についての議論を進め、知見を増やすことの重要性を指摘しています。

また、研究グループは今後、太陽によく似た恒星で発生するスーパーフレアの検出を実現することで、太陽のスーパーフレアが地球環境に与える影響を解き明かし、宇宙環境の保全に貢献することを目標に掲げています。

 

関連:太陽でも起こりうるスーパーフレア。壊滅的影響を及ぼす現象は「いつ」起こるのか

Image Credit: 国立天文台
Source: 京都大学 / 国立天文台
文/松村武宏

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