X線観測衛星「チャンドラ」が撮影した超新星残骸「カシオペヤ座A」(疑似カラー)(Credit: NASA/CXC/SAO)

北極星を探すときの目安になるW字型をしたカシオペヤ座の方向には「カシオペヤ座A」と呼ばれる超新星残骸があり、NASAのX線観測衛星「チャンドラ」が継続的に観測を行っています。チャンドラによる観測データを分析した結果、カシオペヤ座Aを残したとみられる恒星にはまだ見つかっていない伴星が存在していたかもしれないとする研究成果が発表されています。

■超新星爆発前の恒星は伴星との相互作用で外層を失ったか

佐藤寿紀氏(理化学研究所)らの研究グループはチャンドラの観測データをもとに、超新星爆発を起こしてカシオペヤ座Aを残した恒星の性質を分析しました。その結果、カシオペヤ座Aを残した恒星には未発見の伴星が存在していた可能性が示されたといいます。

今回、研究グループは爆発前の恒星が誕生した時の金属量(水素やヘリウム以外の元素の量)を調べました。佐藤氏が「星の最期に影響します」と語るように、形成時の金属量は恒星の進化に影響を与えるとされているためです。観測データから得られた超新星爆発時のマンガンクロムの比率をもとに、カシオペヤ座Aを残した恒星が誕生した時の金属の比率を推定して太陽と比べたところ、太陽よりも金属の比率が低い恒星だったことが判明したといいます。

カシオペヤ座Aを残した恒星は水素でできた外層を失ってから超新星爆発を起こしたとみられており、その原因としては自身の恒星風によって外層が周囲に放出されたり、伴星との相互作用によって外層が剥ぎ取られたりしたことが考えられます。研究グループでは、金属の比率が低い恒星では恒星風が弱く外層を失わせることができないとみられることから、カシオペヤ座Aを残した恒星の場合は伴星によって外層が剥ぎ取られた可能性があると考えています。

これまでのところカシオペヤ座Aにおいて伴星の存在は確認されていませんが、佐藤氏は「伴星がブラックホールや中性子星、白色矮星といった天体だったために見つかっていないのかもしれません」とコメント。今回の成果がカシオペヤ座Aの起源を探る研究に新たな道筋を示し、超新星爆発の理解につながることを期待したいとしています。

 

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Image Credit: NASA/CXC/SAO
Source: 理化学研究所
文/松村武宏

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