4000個以上が見つかっている太陽系外惑星のなかには、主星の近くを公転しているために表面温度が高温に熱せられているホットジュピターのように、太陽系の惑星とはかなり異なった環境を持つものがあります。そんなホットジュピターのひとつ「KELT-9b」について、季節のように周期的な温度変化が存在する可能性を示した研究成果が発表されています。

■高速で自転する主星&ほとんど垂直の公転軌道が周期的な変化をもたらしている

系外惑星「KELT-9b」(手前)を描いた想像図(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

はくちょう座の方向およそ670光年先にあるKELT-9bは、木星と比べて直径は約1.8倍、質量は約2.9倍のホットジュピターです。KELT-9bの公転軌道は主星の「KELT-9」およそ36時間で1周してしまうほど小さく、主星から受け取るエネルギーは地球が太陽から受け取るエネルギーの4万倍以上に達するため、KELT-9bの昼側の温度は一部の恒星よりも高い摂氏およそ4300度まで加熱されているとみられています。

KELT-9bは主星に対してほとんど垂直に近い軌道を描いていることが以前から知られており、NASAの系外惑星探査衛星「TESS」による観測データを分析したJohn Ahlers氏(アメリカ大学宇宙研究協会/ゴダード宇宙飛行センター)らの研究グループによると、その傾きは87度前後に達するとされています。研究グループでは、この垂直に近い公転軌道と主星であるKELT-9の特徴が、KELT-9bに周期的な温度変化をもたらしていると考えています。

短い周期で自転する恒星は遠心力によって扁平な形になり、膨らんだ赤道付近は極付近よりも温度が下がって暗くなる重力減光(gravity darkening)と呼ばれる現象が生じるとされています。KELT-9の自転周期も16時間ほどと短く、極付近の温度は摂氏約1万度とみられているものの、重力減光によって赤道付近の温度は極付近と比べて摂氏800度ほど低くなっており、明るさにも約38パーセントの違いがあるといいます。

ホットジュピターのKELT-9bは主星のKELT-9に対してほぼ垂直に約36時間周期で公転しているため、温度が異なる極付近と赤道付近の上空を1回公転するあいだに2回ずつ、9時間ごとに交互に通過することになります。そのため、高温の極付近の上空にいるときは「夏」、低温の赤道付近では「冬」といったように、KELT-9から受け取るエネルギーが周期的に変化していると考えられています。

KELT-9bの受け取るエネルギーが変化する様子を示した模式図。中央にある主星の「KELT-9」(横倒しに描かれている)は極付近のほうが赤道付近よりも高温であるため、KELT-9bでは1回公転するあいだに「夏」と「冬」が2回ずつ交互に繰り返される(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

研究グループによると、重力減光が生じている恒星を系外惑星が横切ったときに恒星の明るさが変化する様子を詳しく調べることで、系外惑星の公転軌道がどれくらい傾いているのかを知ることができるといいます。研究に参加したJason Barnes氏(アイダホ大学)は、この手法を利用することで「最終的には大質量星における惑星の形成と進化の歴史を解き明かしたいです」とコメントしています。

 

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Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Source: NASA
文/松村武宏

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