火星探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」と火星の大気光を描いた想像図(Credit: ESA)

欧州宇宙機関(ESA)は6月15日、ロシアとの共同ミッション「エクソマーズ」の火星探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」によって、大気が緑色に輝く「大気光」が初めて火星で検出されたと発表しました。

■二酸化炭素が光解離したことで生じた酸素原子が可視光線と紫外線で発光

国際宇宙ステーション(ISS)から夜の地球の大気を眺めると、太陽の光が大気中の分子や原子と相互作用することで生じる大気光を見ることができます。Jean-Claude Gérard氏(リエージュ大学)らの研究グループは、TGOに搭載されている分光計「NOMAD」を使い、火星にも存在すると長年予測されてきた大気光の観測を行いました。

研究グループが火星の高度20~400kmの範囲を複数回に渡り観測した結果、緑色の光が毎回検出されていたことが判明しました。明るさのピークは高度80km付近で、120km付近にも弱いピークが存在することがわかったといいます。研究グループによると、この光は火星大気中の二酸化炭素が太陽光によって光解離したことで生じた酸素原子に由来するといいます。

また、酸素原子は可視光線と紫外線を放射しているものの、詳しい分析の結果、可視光線のほうが16.5倍も強かったことも明らかになったといいます。「火星での観測結果は予測に一致しているものの、目に見える放射が弱い地球のものとは異なります」と語るGérard氏は、酸素原子のふるまいについてもっと学ぶべきことがあると指摘しています。

2011年に国際宇宙ステーションから撮影された地球の大気光(Credit: NASA)

 

Image Credit: ESA
Source: ESA
文/松村武宏

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