南天の「けんびきょう座」の方向およそ31.9光年先にある赤色矮星「けんびきょう座AU星」は誕生してから2200万年ほどとされる若い恒星で、その周りは塵や氷でできた残骸円盤に取り囲まれていることが知られています。今回、けんびきょう座AU星を周回する系外惑星を発見したとする研究成果が発表されています。

「けんびきょう座AU星b」(手前)を描いた想像図。左奥は主星の「けんびきょう座AU星」(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Chris Smith (USRA))

■海王星とほぼ同じサイズ、主星の周りを8日半ほどで公転

Peter Plavchan氏(ジョージ・メイソン大学)らの研究グループは、NASAの系外惑星探査衛星「TESS」と赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」の観測データから、けんびきょう座AU星を周回する系外惑星「けんびきょう座AU星b」が見つかったと発表しました。その直径は海王星とほぼ同じで、質量は海王星の3.4倍未満とみられています。

けんびきょう座AU星bは主星のけんびきょう座AU星から約0.07天文単位しか離れていない軌道を約8.46日周期で公転しているとみられており、主星から離れた場所で形成された後に内側へ移動してきたと考えられています。若く活発なけんびきょう座AU星ではTESSが観測を行った2018年7月と8月にも多数のフレアが生じており、研究グループは観測データからフレアなどの影響を除外した上で分析を行う必要がありました。

主星のけんびきょう座AU星はがか座ベータ星運動星団(ほぼ同じ方向に運動している星の集まり)に属しています。星団の名前になっている「がか座ベータ星」にも2つの系外惑星の存在が知られていますが、いずれも主星から離れた軌道を描いていて、一周するのに約3.3年または約21年を要します。

同じ運動星団に属するこれら2つの恒星はほぼ同時期に誕生したとみられていますが、一方の系外惑星は主星のすぐ近くを、もう一方の系外惑星は遠く離れたところを周回していることになります。研究に参加したThomas Barclay氏(ゴダード宇宙飛行センター、NASA)は「似たような年齢の恒星を周回する系外惑星にみられる違いは、惑星がどのように形成され、そして移動するのかについて、私たちに多くのことを物語っています」と語ります。

なお、研究グループによると、今回見つかったけんびきょう座AU星bとは別の系外惑星による可能性が考えられる明るさの変化が検出されているといいます。Plavchan氏は「TESSの延長ミッションにおける今年中の再観測が実現するかもしれません」とコメントしています。

 

関連:「がか座ベータ星」に2つ目の太陽系外惑星を発見。わずか63光年先

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL / 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター
文/松村武宏

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