地球外知的生命体探査の新たな鍵は「太陽光発電」と「大気汚染」か
太陽系外惑星
太陽系外惑星を描いたイメージ図。研究者が提案する新たな手法で地球外知的生命体の技術的兆候を見つけ出せるかもしれない(Credit: NASA/JPL-Caltech)

1960年代に始まった地球外知的生命体探査(SETI:Search for ExtraTerrestrial Intelligence)では、これまで主に電波信号の捜索が行われてきました。今回NASAから助成を受けた研究グループは、文明の技術的な兆候(technosignatures、テクノシグネチャー)として「太陽光発電」「大気汚染」に注目しています。

■ソーラーパネルの反射光や大気中の汚染物質がSETIの新たな鍵に

Adam Frank氏(ロチェスター大学)やAvi Loeb氏(ハーバード大学)らの研究グループは、知的生命体による電波以外の技術的兆候の研究に関する助成金をNASAから受領したと発表しました。

「ハビタブルゾーンに位置するものも含めて数千の太陽系外惑星が見つかったことで、どの星に望遠鏡を向けるべきかがわかりました」とFrank氏が語るように、1995年以降、人類は4000以上の系外惑星を見つけてきました。研究グループはSETIの新たなステップとして、人類と同様に物理学や化学にもとづいたエネルギー源を利用するはずの地球外知的生命体の存在を示す、技術的兆候を捉えたいとしています。

注目されている兆候の一つは、ソーラーパネルの反射光です。地球に似た環境を持つ可能性がある系外惑星のなかには、恒星の潮汐作用によって自転と公転の周期が同期した潮汐固定(潮汐ロック)の状態にあるとみられるものが幾つも見つかっていて、こうした系外惑星では片側がいつも昼で、もう片側がいつも夜という環境が広がっています。研究グループでは、このような系外惑星に誕生した知的生命体は夜側の地域で活用したいエネルギーを得るために大規模な太陽光発電施設を昼側に建設する可能性があり、ソーラーパネルが反射した特徴的な光を技術的兆候として認識できるかもしれないと考えています。

もう一つの注目されている兆候は、大気汚染物質です。知的生命体が存在する系外惑星の大気中には、酸素、メタン、水蒸気といった生命活動に結びつく物質だけでなく、クロロフルオロカーボン(特定フロンのひとつ)のように自然界ではまず生成されないと考えられる物質が存在するかもしれません。研究グループは、こうした文明活動特有の物質もまた技術的兆候として捉えることが可能だとしています。

研究グループは、収集された技術的兆候を研究者が参照できるようにオンラインで公開することも計画しています。Loeb氏は「現在の人類と同等かそれ以上に高度な技術を有した地球外知的生命体の兆候を探る、新たな手法の定量化を目指しています」とコメントしています。

 

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  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech
  • ロチェスター大学 / ハーバード・スミソニアン天体物理学センター

文/松村武宏