すでに4000個以上が発見されている太陽系外惑星のなかには、主星(恒星)の近くを周回しているために、表面が摂氏数百度以上の高温に熱せられているものも数多く見つかっています。今回、若い恒星の周囲で昨年発見された4つの系外惑星のうち、その半分は大気を失う運命にあるかもしれないとする研究成果が発表されています。

■条件によって大きく異なる50億年後の系外惑星の姿

V1298 Tauを周回する4つの系外惑星を描いたイメージ図(Credit: AIP/J. Fohlmeister)

「おうし座」の方向およそ350光年先にある「V1298 Tau」は、太陽よりもやや大きく(質量は太陽の約1.1倍、直径は太陽の約1.35倍)、誕生してから2500万年ほどとされる若い恒星です。昨年、V1298 Tauに海王星から土星ほどのサイズがある4つの系外惑星が見つかったとする研究成果がTrevor David氏(JPL:ジェット推進研究所、当時)らの研究グループによって発表されています。

今回、Katja Poppenhaeger氏(ポツダム天体物理研究所)らの研究グループは、NASAのX線観測衛星「チャンドラ」などによる観測データを利用して、V1298 Tauの放射するX線によって系外惑星がどのような影響を受けるのかを分析しました。その結果、4つの系外惑星のうち内側を周回する「V1298 Tau c」(直径は地球の約5.6倍、公転周期は約8.2日)と「V1298 Tau d」(同6.4倍、12.4日)が低密度な惑星だった場合、50億年後には大気を失ってコアだけになる可能性が示されたといいます。

研究グループによると、若い恒星は太陽の1000倍から1万倍という強力なX線を放射しており、恒星の自転速度が遅くなるにつれてX線も弱くなっていくといいます。強力なX線は周回する系外惑星の大気を加熱・蒸発させる可能性があることから、研究グループは主星が放射するX線の長期的な影響を分析するために、V1298 Tauと4つの系外惑星に着目しました。

大気がどの程度失われるのかは、系外惑星の質量や密度、主星からの距離によって左右されます。しかし、V1298 Tauの系外惑星はトランジット法(※)によって発見されており、直径は判明しているものの質量がわからないため、平均密度を求めることができません。そこで研究グループは、主星のX線放射が弱まるペースを3段階想定した上で、4つの系外惑星がそれぞれ「低密度かつコアの質量が地球の5倍」「低密度かつコアの質量が地球の10倍」「高密度」だった場合を仮定して分析を行いました。

※…地球から見て系外惑星が主星の手前を横切ったときの主星の明るさの変化を利用して、系外惑星を検出する方法

すべての系外惑星が「低密度かつコアの質量が地球の5倍」(質量が一番小さいパターン)で主星のX線放射がゆっくり弱まると仮定した場合、前述のように内側のV1298 Tau c/V1298 Tau dだけでなく、その外側を周回する「V1298 Tau b」(直径は地球の約10.3倍、公転周期は約24.1日)も大気が蒸発し、コアだけになってしまうとされています。主星のX線放射がもっと早く弱まるとしても、V1298 Tau cとV1298 Tau dは大気のほとんどを失うと予測されています。

いっぽう、すべての系外惑星が「高密度」(質量が一番大きいパターン)で主星のX線放射がすみやかに弱まると仮定した場合、4つの系外惑星はほとんど蒸発しないとみられています。Poppenhaeger氏は「系外惑星が周回している恒星のX線を観測することで、系外惑星の大気の長期的な変化を学ぶ上での鍵となる情報を得ることができます」とコメントしています。

 

Image Credit: AIP/J. Fohlmeister
Source: AIP
文/松村武宏

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