小惑星「ベンヌ」からのサンプル採取を目指すNASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」は、今年10月の採取実施に向けてリハーサルやベンヌ表面の観測を続けています。今回、オシリス・レックスによって撮影されたベンヌ表面の画像から、昼夜の温度差によって生じたとみられる亀裂や剥離を確認したとする研究成果が発表されています。

■昼夜の激しい温度差によって岩が割れたり表面が剥がれたりしたとみられる

オシリス・レックスによって撮影されたベンヌ表面の一例。矢印の先が熱破砕によるものとみられる亀裂や剥離などの特徴(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

およそ4.3時間で1回自転するベンヌ表面の温度は、昼から夜にかけて摂氏プラス127度~マイナス73度ほどの範囲(摂氏約200度の温度差)で変化するとみられています。このような急激な温度変化によって膨張と収縮を繰り返した岩石が割れたり一部が剥がれたりする熱破砕は、大気を持たない小惑星の表面が風化する上で重要な役割を果たしている可能性があると考えられてきたといいます。

Jamie Molaro氏(米国惑星科学研究所)らの研究グループは、オシリス・レックスに搭載されている光学観測装置「OCAMS(OSIRIS-REx Camera Suite)」によって撮影されたベンヌ表面の画像から、岩石が熱破砕された証拠が見つかったと発表しました。岩石の一部には表面から1~10cm程度の部分が剥離したと考えられる特徴がみられる他に、別の岩石では一定の方向に沿って走る亀裂が確認されています。

研究グループによると、このような風化は雨や造構運動によって引き起こされることもあるものの、ベンヌはそのような運動が起きるには小さすぎますし、大気がないので雨が降ることもありません。そのため、今回確認された剥離や亀裂の原因として考えられるのは熱破砕ということになります。

論文を主筆したMolaro氏は「大気がない天体で明瞭に観察された熱破砕の初めての証拠です」とコメント。オシリス・レックスのプロジェクトサイエンティストJason Dworkin氏(ゴダード宇宙飛行センター、NASA)は「2023年に持ち帰られる予定のサンプルを分析すれば、熱破砕のプロセスをより詳しく理解できるでしょう」と語っています。

 

Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona
Source: アリゾナ大学 / NASA
文/松村武宏

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