有機化合物は生命が息づく地球だけでなく、彗星や星間分子雲といった宇宙のさまざまな場所で見つかっています。こうした有機化合物が生成されるうえで、隙間が多いフワフワな塵が重要だとする研究成果が発表されています。

■表面積が広くて氷が厚くなりにくく、塵を触媒とした反応が起きやすい可能性

フワフワな塵(灰色)の表面には場所によって厚さが異なる氷(青色)が層を成していて、熱や紫外線の影響を受けることで化学反応が起こると考えられている(Credit: A. M. Quetz / MPIA)

Alexey Potapov氏(イエナ大学)らの研究チームは、星間空間や原始惑星系円盤などで生じる化学反応において塵がどのような役割を果たしているのかを知るために、人工的に作り出した塵を利用した実験を行いました。低温な環境にある塵の表面にはさまざまな物質が付着しつつ、水や一酸化炭素などの氷の層を形成するとみられています。こうしてできた氷の層が熱や紫外線、放射線などの影響を受けると化学反応が起こり、有機化合物などが生成されると考えられています。

研究チームによると、従来の研究では隙間がない粒のような形の塵が想定されてきたといいますが、近年ではとても細かな粒子がフワフワとゆるく集まってできた、隙間が多い形をしていると考えられています。フワフワな塵では粒のような塵よりも表面積が数百倍も広く、氷の層が塵の表面全体を覆いにくくなるため、層の厚さは場所によって異なるものとみられています。

このようなフワフワな塵では、粒のような塵と比べて化学反応の環境条件が大きく異なるといいます。たとえば氷の層が薄い場所では塵そのものが触媒として働きやすくなるため、ホルムアルデヒドアンモニウム化合物(カルバミン酸アンモニウム)などの形成が促進されると研究チームは考えています。これらの物質は生命の誕生にもつながるより複雑な化合物の生成にも関わっているとみられており、塵の形を再検討することは、生命誕生前の地球環境を探る研究にも影響するとしています。

研究に参加したThomas Henning氏(マックス・プランク天文学研究所)は「宇宙で生成される分子の研究に刺激的な方向性を示す結果です」とコメント。生命の起源という大きな謎に挑む上では、塵の形も重要なポイントとなるようです。

 

Image Credit: A. M. Quetz / MPIA
Source: マックス・プランク天文学研究所
文/松村武宏

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