惑星状星雲「M57」(Credit: NASA, ESA, C.R. O’Dell (Vanderbilt University), and D. Thompson (Large Binocular Telescope Observatory))

■今日の天体画像:惑星状星雲「M57」

「こと座」の方向およそ2500光年先にある「M57」「環状星雲」「リング星雲」とも呼ばれる有名な惑星状星雲です。幅およそ1光年に渡り広がる「目」のような部分がよく目立つ星雲ですが、上の画像では「目」を取り囲むように淡く幾重にも広がる花びらのような構造が写し出されています。これは「ハッブル」宇宙望遠鏡とアリゾナ州の「大双眼望遠鏡(LBT:Large Binocular Telescope)」によって撮影されたM57の画像を1つに合成したもので、色は可視光線や赤外線の波長に応じて着色されています。

M57の中心には白色矮星があり、かつて赤色巨星だった頃に周囲へ放出したガスを紫外線によって電離させ輝かせています。「目」の中央付近にある濃い青色はヘリウム、その周りにある明るい緑色は酸素、青色や緑色を取り囲む明るい赤色の部分は窒素の輝きを着色したもの。花びらのように広がる周囲の淡い赤色は、水素の存在を示しています。

繊細で複雑な構造を持つことがわかるM57は毎秒20km以上の速度で膨張し続けていて、逆算されたガスの放出時期はおよそ4000年前とみられています。太陽の質量の8倍程度よりも軽い恒星が白色矮星へと進化する過程で形成される惑星状星雲は、やがて中心星からの紫外線が弱まるにつれて暗くなり、ガスが星間物質と混ざりあうことで見えなくなっていくと考えられています。

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された、M57の「目」のように見える部分(Credit: NASA, ESA, and the Hubble Heritage(STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration)

 

Image Credit: NASA, ESA, C.R. O’Dell (Vanderbilt University), and D. Thompson (Large Binocular Telescope Observatory)
Source: Hubblesite
文/松村武宏

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