みなみじゅうじ座の暗黒星雲コールサック。可視光(青、緑)と赤外線(赤)の波長で撮影した画像を合成したもの(Credit: ESO)

■今日の天体画像:暗黒星雲コールサック

視野の一面に砂粒のように散りばめられた天の川の星々。その輝きに囲まれるようにして、真っ黒な穴が空いているかのような部分があります。これは「南十字星」の別名でおなじみ南天の「みなみじゅうじ座」の方向およそ600光年先にある暗黒星雲「コールサック(石炭袋)」の一部を拡大して捉えたものです。

暗黒星雲は塵を多く含む密度の高い星雲で、可視光線を遮ってしまうために向こう側を見通すことができず、そこだけ星が存在しないように見えています。なかでもコールサックは星が密集している天の川と重なっていることからシルエットがよく目立ち、南半球ではおなじみの暗黒星雲とされています。

ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、1499年にスペインの探検家ビセンテ・ヤーニェス・ピンソンが報告したことで、欧州でもコールサックが知られるようになったといいます。1970年の研究ではコールサックの明るさが周囲の天の川に対して10パーセントほどしかないと観測されていますが、ラ・シヤ天文台の2.2m望遠鏡を使って撮影された上掲の画像では、真っ暗に見える星雲を通り抜けてきた星の光も幾らか捉えられています。

背景の星を隠して見えなくしてしまうほど高密度のガスや塵は星の材料であり、暗黒星雲は星が形成される領域でもあります。コールサックでも新たな星が誕生し、その輝きによって数百万年後には暗黒星雲としての歴史も終わるとみられています。この画像はESOから2015年10月に公開されました。

コールサック全体の様子。右上の明るい恒星はアクルックス(みなみじゅうじ座アルファ星)(Credit: ESO/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgment: Davide De Martin)

 

Image Credit: ESO
Source: ESO
文/松村武宏

 オススメ関連記事