4000個以上が見つかっている太陽系外惑星のなかには、主星(恒星)のすぐ近くを周回しているため高温に熱せられ、ガスや岩石が蒸発しているとみられるものもあります。今回、NASAの系外惑星探査衛星「TESS」によって、蒸発しかけている系外惑星が新たに検出された可能性があるとする研究成果が発表されています。

■系外惑星から蒸発したガスなどによるわずかな減光が検出された可能性

蒸発する系外惑星「ケプラー1520b」を描いた想像図。今回検出されたのもこのような系外惑星だった可能性がある(Credit: NASA/JPL-Caltech)

Mark Jones氏(オープン大学)らの研究チームは、2019年にDaniel Staab氏(同大学)らが報告した恒星「DMPP-1」(「うさぎ座」の方向およそ200光年先)を周回する4つの系外惑星を検証するために、TESSの観測データを分析しました。その結果、Staab氏らが報告した4つの系外惑星とは別に、蒸発しつつある5つ目の系外惑星とみられる天体が検出された可能性があるとしています。

昨年Staab氏らによって報告された系外惑星「DMPP-1 d」「同e」「同c」「同b」(主星から近い順)の公転周期は、内側から約2.88日、約5.52日、約6.58日、約18.6日とされています。ところがJones氏らは、これら4つの系外惑星のどの周期とも一致しない約3.29日ごとに繰り返される周期的な減光をTESSの観測データから発見。もしもこれが地球に似た岩石質の系外惑星によるものだとすれば、その質量は地球の約3.2倍と推定されました。

しかし、地球の3倍も重い系外惑星であれば、Staab氏らが検出できなかったのはなぜかという疑問が生じます(Staab氏らが検出した系外惑星の最小質量は、内側からそれぞれ地球の約3.35倍、約4.13倍、約9.6倍、約24.3倍)。Jones氏らは5つ目の系外惑星が存在するという前提で各惑星の軌道がどのように変化するかを解析しましたが、その結果はStaab氏らの観測で明らかにされた4つの系外惑星の軌道とは一致しなかったといいます。

このことからJones氏らは、TESSによって検出されたのは系外惑星そのものではなく、5つ目の系外惑星から蒸発したガスや塵の集まりによって主星が隠されたことによる減光だったと考えています。研究チームによると、TESSの観測データは主星の減光量が毎回異なることを示しており、同様の現象は蒸発しつつあるとみられる系外惑星「ケプラー1520b」でも観測されていることから、今回検出された減光も同じように蒸発しかけている系外惑星によって生じた可能性があるとしています。

なお、Staab氏らは惑星の公転にともなって主星がわずかにふらつくように観測される様子を捉える「視線速度法」(ドップラー分光法とも)を利用して4つの系外惑星を検出しました。5つ目の系外惑星がStaab氏らによって検出されなかった理由についてJones氏らは、その質量が視線速度法で検出できる限界値を下回っていたからではないかと指摘。欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡「CHEOPS」による減光の再確認や、「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡などによる将来の追加観測に期待を寄せています。

またJones氏らは、Staab氏らが検出した系外惑星もやはり主星の熱による蒸発を経験した可能性があり、一部は蒸発後に残ったコアの部分だけになっているかもしれないと言及しています。

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: アメリカ天文学会 / オープン大学
文/松村武宏

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