「みなみのかんむり座R星」(中央やや上)とその周辺に広がる星形成領域(Credit: ESO)

地球をはじめとした惑星は、誕生したばかりの恒星を取り囲むガスや塵でできた原始惑星系円盤から形成されたと考えられています。そんな原始惑星系円盤を従来以上の高い解像度で分析することに成功したとする研究成果が発表されています。

■原始惑星系円盤の恒星に近い領域を高解像度で画像化

今回、Jacques Kluska氏(ルーヴァン・カトリック大学)らの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」によって取得された赤外線による観測データを利用し、原始惑星系円盤のなかでも恒星に近い内側の部分を従来以上の解像度で分析しました。

研究チームによると、地球のような岩石質の惑星は恒星から5天文単位(1天文単位は地球から太陽までの平均距離に由来)程度の範囲で形成されると考えられていますが、今回分析された原始惑星系円盤の一部では、この範囲において明るく見えたり暗く見えたりする不規則な部分があることが確認されたといいます。研究チームは、円盤のなかに生じたこのような乱れをきっかけとして塵が集まり始め、やがて惑星が形成されていく可能性があると述べています。

今回の研究では、VLTを構成する4つの望遠鏡を連動させる「VLT干渉計(VLTI:VLT Interferometer)」というシステムを用いて2012年12月から2013年6月にかけて得られた15の恒星についての観測データが利用されました。Kluska氏によると、これまでの観測ではほんの数ピクセル程度の解像度でしか捉えられなかった原始惑星系円盤の狭い範囲を、VLT干渉計による観測データを用いることで「月にいる人間、あるいは10km先の髪の毛が識別できる」レベルの解像度で画像化できたといいます。

今回の研究において「みなみのかんむり座R星」(左)と「おおいぬ座FS星」(右)周辺を画像化したもの。恒星からの光は除外されている。比較として描かれているのは恒星を中心とした地球の公転軌道(緑色の点線)と木星の公転軌道(水色の点線)のサイズ(Credit: Jacques Kluska et al.)

たとえば地球からおよそ310光年先にある「みなみのかんむり座R星(R Coronae Australis)」の場合、地球の公転軌道(平均半径1天文単位)よりも狭い範囲にみられる明るさの濃淡が捉えられています。また、およそ2000光年先にある「おおいぬ座FS星(HD 45677)」の場合、木星の公転軌道(平均半径およそ5.2天文単位)と同じくらいのところに弧状に明るい部分があることがわかります。

研究チームでは、今回確認された円盤内部の不規則な部分についてのより詳しい情報や、惑星の形成を直接観測する機会を得るために、円盤を持つ恒星のさらなる観測を計画しています。

 

Image Credit: Jacques Kluska et al.
Source: KU Leuven
文/松村武宏

 オススメ関連記事