若い恒星PDS 70(中央)と、原始惑星系円盤の隙間を周回する2つの系外惑星を描いた想像図(Credit: W. M. Keck Observatory/Adam Makarenko)

ケンタウルス座の方向およそ370光年先にある恒星「PDS 70」は、年齢が540万歳前後と推定される若い星です。その周囲には誕生したばかりの太陽系外惑星が2つ存在することが知られていますが、その両方を赤外線の波長で直接撮影した研究成果が発表されています。

■系外惑星の撮影を補償光学がサポート

若い恒星PDS 70の周囲には原始惑星系円盤が存在していて、円盤内部の隙間には「PDS 70b」および「PDS 70c」の2つの系外惑星が発見されています。惑星形成の様子を観測できるPDS 70は研究者から注目されており、昨年7月に発表された研究では、チリの「アルマ望遠鏡」を使った観測によってPDS 70cが衛星の形成につながる周惑星円盤に取り囲まれていることが判明したとされています。

今回、Jason Wang氏(カリフォルニア工科大学)らの研究チームは、ハワイのW.M.ケック天文台にある「ケック望遠鏡」を用いて近赤外線の波長でPDS 70を観測。地球の大気によるゆらぎの影響を打ち消す補償光学も利用したことで、2つの系外惑星が発した赤外線を直接捉えることに成功しました。研究に参加したCharlotte Bond氏(ハワイ大学)は「補償光学によって、赤ちゃんのように幼い惑星系から鮮明な観測データを得ることが可能になります」と語ります。

W.M.ケック天文台のケック望遠鏡を使って撮影されたPDS 70b(bの矢印)とPDS 70c(cの矢印)。中央の十字は恒星であるPDS 70の位置を示す(Credit: J. Wang, Caltech)

今回の観測により、PDS 70bの質量は木星の2~4倍PDS 70cの質量は木星と同程度~3倍と見積もられています。また、観測結果を新しい惑星形成モデルに適用したところ、2つの系外惑星は平均して1年間に地球の月の0.3~2パーセントほどの質量を得ることで成長し続けてきたと試算されています。

「最先端の観測機器を用いることで現在進行中の惑星形成プロセスを詳しく調べられることに興奮しています」と語るWang氏は、今後ケック望遠鏡に追加される予定の新しい観測機器を用いることで、PDS 70を周回する系外惑星の追加観測を行う予定です。

 

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Image Credit: J. Wang, Caltech
Source: W.M.ケック天文台
文/松村武宏

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