他の産業で開発された技術が天文学に応用されることはよくありますが、天文学を社会に応用し貢献するためのプロジェクトの募集が開始されました。これは国際天文学連合と南アフリカ政府が共同で設立した「社会発展のための天文学推進室」(Office of Astronomy for Development: OAD)が主催しているもので、年に一度行われます。OADは「より良い世界のための天文学」をビジョンとし、この募集(Annual Call for Proposals)では「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)に関するものを受け付けています。

SDGsとは持続可能でより良い世界を目指す国際目標で、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」といった17のゴールが定義されています。天文学とこれらのゴールは無関係のように思われるかもしれませんが、たとえば天文学に関するツアーを開催して経済的な支援をしたり、天文学の教育を通じて科学技術の知識を伝えたりといった、冒頭の画像のようにいくつものゴールに関連するプロジェクトがこれまで多数提案されてきています。提案は世界中から受け付けており、年内いっぱいの審査プロセスを経て採択されたプロジェクトについては、プロジェクトを実行するための資金として9万ユーロ(全採択プロジェクトの合計額。平均的には数千ユーロ)が提供されます。審査は2段階で行われ、第1段階の応募締め切りは5月31日です。

一方、今年は新型コロナウイルスの流行を受け、これに特化した提案(Call for COVID-19 related proposals)も別途受け付けています。応募するプロジェクトの基本的な考え方や原則は年次のものと同じですが、プロジェクトの例としてオンラインでSTEM教育(科学・技術・工学・数学の教育)を行うこと、天文学の研究で使うコンピューターリソースを感染症の専門家に提供すること、というように新型コロナウイルスによる影響を軽減するようなものが提示されています。こちらは5月15日が締め切りでその後2週間のうちに審査が行われ、採択されたプロジェクトには原則として約1,000ユーロまでの資金が提供されます。

いずれも審査基準をクリアし、かつ英語で応募する必要がありますが、応募者は必ずしも天文学の知識がなくてもよく、プロジェクトを実行する際に必要なチームメンバー(たとえば天文学、プログラミング、教育の経験者など)を揃えられれば大丈夫です。また、過去に採択されたプロジェクトの一覧もOADのWebサイトで見ることができます。採択されたプロジェクトは発展途上国のものだけではありませんが、日本から採択されたものはまだないようです。過去のプロジェクトをヒントに、アイディアがあればチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

詳細はOADの以下Webサイトに掲載されています。

 

Image Credit: IAU
Source: Office of Astronomy for Development
文/北越康敬

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