恒星間天体「オウムアムア」を描いた想像図(Credit: ESO/M. Kornmesser)

観測史上初の恒星間天体「オウムアムア(’Oumuamua)」や恒星間彗星「ボリソフ彗星(2I/Borisov)」は太陽系にとどまることなく脱出していく軌道に乗っていますが、太陽系の外からきた天体のすべてが通過していくだけとは限らないようです。今回、木星よりも外側にある一部の小惑星が太陽系では形成されておらず、太陽系の外からやってきた可能性を示した研究成果が発表されています。

■一部のケンタウルス族小惑星の軌道を太陽系の初期までさかのぼって解析

Fathi Namouni氏(コートダジュール天文台、フランス)とMaria Helena Morais氏(パウリスタ大学、ブラジル)は、木星よりも外側を公転する「ケンタウルス族」などの小惑星のうち、軌道の傾きが垂直に近い「(518151) 2016 FH13」や、惑星とは逆向き(左回りではなく右回り)に太陽を公転している「(434620) 2005 VD」といった19個の小惑星に注目。太陽系が形成された頃にまでさかのぼるシミュレーションを行って軌道の変化を詳しく分析した結果、これらの小惑星は45億年前の時点ですでに垂直に近い軌道を描いていた可能性が示されました。

太陽系の惑星やほとんどの小惑星は、太陽を取り囲んでいた原始惑星系円盤から形成されたと考えられています。もしもこれらの小惑星が同じ原始惑星系円盤から形成されたとすれば、初期の軌道は垂直よりも水平に近かったはずです。両氏は分析を実施した19個の小惑星が太陽系で形成されたものではなく、別の場所で形成されてから太陽系に加わったと考えています。

赤い楕円が今回の研究で示された45億年前のケンタウルス族小惑星(一部)の軌道のイメージ。太陽を囲む原始惑星系円盤(中央上)に対して垂直で、円盤から遠く離れる軌道を描いている(Credit: CNRS, Protoplanetary disc: NASA)

太陽は孤立して形成されたのではなく、幾つかの恒星とともに星団の一員として形成されたとする説があります。両氏によると、太陽が星団で形成されたばかりの頃は他の恒星との距離が近く、別の恒星の周辺で形成された天体を互いに捕獲しやすい環境にあったといいます。今回軌道が分析された19個の小惑星はその頃に太陽の重力に捕らえられ、45億年が経った現在に至るまで周回し続けているものとみられています。

なお、両氏は2018年5月、太陽を右回りで公転する逆行軌道を描く小惑星「(514107) カエパオカアウェラ」(Ka`epaoka`awela、日本語表記は筆者による)が太陽系外で形成されたとする研究成果を発表しています。Morais氏は今回の成果について「太陽系の内外で形成された小惑星の類似点や相違点を理解する上で、太陽系外が起源とみられる小惑星群の発見は重要なステップとなります。また、太陽が誕生したとされる星団や、太陽系の進化における星間物質の役割についても手がかりが得られることになるでしょう」とコメントしています。

 

Image Credit: ESO/M. Kornmesser
Source: 王立天文学会 / CNRS
文/松村武宏

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