2019年12月に発見された「アトラス彗星(C/2019 Y4)」は、今年の5月上旬~中旬にかけて、肉眼でも見られるほど明るくなるかもしれないと予測されていました。しかしその後の観測において、アトラス彗星の核が崩壊・分裂した様子が捉えられています。

■崩壊して暗くなり始めたものの、直近の観測では再び増光

4月12日に撮影された「アトラス彗星(C/2019 Y4)」。核が崩壊し分裂している様子が捉えられている(Credit: Milen Minev, Velimir Popov & Emil Ivanov 2020)

5月31日に太陽へ最接近するアトラス彗星は、発見当初の20等から急速に明るさを増し、3月中旬には9等まで増光。北半球では最接近直前となる5月上旬~中旬にかけて、日没後の西の空に1~3等の明るさで輝くアトラス彗星を肉眼で見られるかもしれないと予想されており、soraeでも3月27日付でその可能性をお伝えしていました。

ところがその翌週、Quanzhi Ye氏(メリーランド大学)らによる4月2日と5日の観測において、アトラス彗星の核が分裂しつつある様子が確認されました。Milen Minev氏(ロジェン天文台、ブルガリア)らが4月12日に撮影した上掲の画像では、核が崩壊して複数に分裂した様子が捉えられています。

3月下旬までは明るくなり続けていたアトラス彗星ですが、核が崩壊してからは減光に転じています。彗星観測のデータベース「COBS」でアトラス彗星の明るさの変化を確認すると、3月末頃から4月上旬、ちょうど崩壊が確認された頃から減光が始まっていることがわかります。

ただ、4月中旬まで続いていたアトラス彗星の減光はピーク時から1等ほど暗くなったところで止まり、COBSに寄せられた直近の観測結果によると再び増光に転じつつあるようです。増光、崩壊、減光、そして再び増光とめまぐるしく変化するアトラス彗星の活動から、しばらく目が離せません。

 

関連:5月に注目。日没後の空に肉眼で彗星が見えるかも

Image Credit: Milen Minev, Velimir Popov & Emil Ivanov 2020
Source: Astronomy Picture of the Day / Sky & Telescope / COBS
文/松村武宏

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