木星よりもずっと重いものの、中心部分で水素の核融合が起きるほどには重くない、惑星と恒星の中間にあたる天体「褐色矮星」。そんな褐色矮星の風速を直接測定することに初めて成功したとする研究成果が発表されています。

■赤外線と電波の観測データから風速を割り出すことに成功

褐色矮星を描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

Katelyn Allers氏(バックネル大学、アメリカ)らの研究チームが風速の測定に成功したのは、「しし座」の方向およそ34光年先にある褐色矮星「2MASS J10475385+2124234」(以下「2MASS J1047+21」)です。直径は木星とほぼ同じで、質量は木星の40倍ほどとみられていますが、恒星の質量の下限は木星の75倍とされていますから、2MASS J1047+21の質量はその半分程度ということになります。

研究チームは、赤外線と電波による2MASS J1047+21の観測データを分析することで、この褐色矮星の風速が秒速約650m(誤差を考慮すると秒速340~960m)、時速に換算すれば約2300kmであることを割り出しました。木星の風速(時速約370km)はもとより海王星の風速(時速約2000km)も上回るとみられており、Allers氏は、褐色矮星では強い風が吹いているという予測と一致する結果が得られたとしています。

Allers氏らは今回、2MASS J1047+21の大気上層の回転速度を赤外線の観測データから、高圧下で固体のようにふるまっているとみられるガスの内部構造の回転速度を電波の観測データからそれぞれ算出し、その違いから風速を直接測定することに成功しました。算出に用いられたのはNASAの宇宙望遠鏡「スピッツァー」(今年の1月30日に運用終了)によって2017年と2018年に取得された赤外線の観測データと、アメリカの「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)」によって2018年に得られた電波による観測データです。

なお、研究チームでは、赤外線と電波の観測データを使った今回と同様の手法を用いることで、他の褐色矮星だけでなく質量の大きな太陽系外惑星の風速も測定できると考えています。

今回の研究では赤外線観測によって判明した褐色矮星(左)の上層大気における回転速度(1.741時間、赤で表記)と、電波観測によって判明した内部構造の回転速度(1.758時間、グレーで表記)をもとに風速(秒速650m、水色で表記)を算出した。右は比較として描かれた木星(Credit: Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF)

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL / NRAO / ハーバード・スミソニアン天体物理学センター
文/松村武宏

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