太陽に温められることでガスや塵を放出し尾を引いた姿となる彗星は、ときに激しい活動を見せることがあります。昨年2019年8月に見つかった観測史上2番目の恒星間天体「ボリソフ彗星(2I/Borisov)」において、核の一部が分裂して断片になったとみられることが相次いで報告されています。

■ボリソフ彗星から断片が分裂したとみられる様子が捉えられた

2019年10月12日にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたボリソフ彗星(Credit: NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA))

David Jewitt氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)らの研究チームは4月2日、3月下旬に「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影されたボリソフ彗星の画像を分析したところ、3月30日の時点でボリソフ彗星の核から180kmほど離れたところに断片を発見したと国際天文電報(ATel)において報告しました。また、翌4月3日にはBryce Bolin氏(カリフォルニア工科大学)らが、核から540kmほど離れたところにJewitt氏らが発見したものとは別の断片が見つかったことを報告しています。

Jewitt氏らは今年1月の時点で、ボリソフ彗星の核の大きさは発見当初の予想を下回る200~500mと推定。核のサイズが小さいとガスの放出にともない自転速度が加速されやすくなるため、ボリソフ彗星の核が分裂する可能性を指摘していました。3月7日にはボリソフ彗星が約0.7等明るくなる突発的な増光が観測されており、Michal Drahus氏(ヤギェウォ大学天文台、ポーランド)らはボリソフ彗星の核において分裂が進行しつつあるとみられることをATelにて報告しています。

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なお、Jewitt氏らが発見した断片は、ボリソフ彗星に対して1パーセント未満の質量しかない小さなものとみられています。Bolin氏らが発見した断片は100m以下のサイズがあると推定されていますが、Bolin氏は「彗星が崩壊するとその明るさは急激に暗くなるが、ボリソフ彗星はそうなっていない」ことから、観測の時点ではボリソフ彗星の核が崩壊するほどの分裂には至っていないと考えています。ただ、Jewitt氏は自転周期が4時間を下回ると核が崩壊する可能性があるとしており、今後も分裂した核の断片や、より大きな変化が観測されることがあるかもしれません。

Jewitt氏がATelにおいて公開したボリソフ彗星の画像(処理済み)。3月23日(左端)の時点では点状に見える中心部分が、3月30日(右端)では少し引き伸ばされたような形状に変化している(Credit: D. Jewitt et al.)

 

関連:ボリソフ彗星、当初の予想ほど大きくはなかった

Image Credit: NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA)
Source: Sky & Telescope
文/松村武宏

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