木星や土星といった太陽系のガス惑星は地球よりも太陽から遠く、得られるエネルギーも少なくなります。今回、これらガス惑星の上層大気が予想よりも高温であることの理由として、オーロラによって加熱されていることが明らかになったとする研究成果が発表されました。

■太陽エネルギーだけでは説明できない高温の熱圏、オーロラが温めているか

「ハッブル」宇宙望遠鏡によって撮影された土星とオーロラ(別々に撮影された2つの画像を合成したもの)(Credit: ESA/Hubble, NASA, A. Simon (GSFC) and the OPAL Team, J. DePasquale (STScI), L. Lamy (Observatoire de Paris))

地球の大気の温度は高度によって変化します。高度約80kmから始まる熱圏では太陽からの紫外線やX線が吸収されるため、高度が上がるにつれて温度も上がっていきます。木星や土星にも熱圏は存在しているのですが、その温度は遠い太陽から受け取るエネルギーだけでは説明することができなかったといいます。

Zarah Brown氏(アリゾナ大学月惑星研究所、アメリカ)らの研究チームは、2017年9月にミッションを終えた土星探査機「カッシーニ」のミッション終盤に実施された「グランド・フィナーレ」(2017年4月から9月にかけて、土星のかなり近くまで接近する軌道を周回しながら行われた観測)において取得された観測データをもとに、土星の熱圏が加熱される仕組みを調べました。

観測データを分析した結果、土星の南北両極に発生するオーロラ周辺の大気が、予想よりも高温に加熱されていることが明らかになりました。研究チームは、オーロラによってまずは高緯度の上層大気が加熱されたあと、風によって低緯度の赤道付近にも熱が運ばれることで、土星の熱圏の温度が太陽エネルギーを受け取るだけの場合よりも高い温度まで温められると考えています。

カッシーニのグランド・フィナーレによって得られた観測データは「土星の極域から極域にかけて、高度による温度変化も確認しながら上層大気の様子を知ることができた初めてのデータ」(Brown氏)だったといいます。カッシーニに搭載されていた観測装置のひとつ「紫外線画像分光器(UVIS)」を担当したチームの一員であり、今回の研究にも参加したTommi Koskinen氏は、この研究成果について「惑星の上層大気を理解する上で不可欠なものだ」とコメントしています。

 

Image Credit: ESA/Hubble, NASA, A. Simon (GSFC) and the OPAL Team, J. DePasquale (STScI), L. Lamy (Observatoire de Paris)
Source: アリゾナ大学
文/松村武宏

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