液体の水が保たれる条件を満たした天体は、地球外で生命が存在し得る場所として注目されています。恒星から受け取るエネルギーが適度なハビタブルゾーンに位置する太陽系外惑星が特に注目されていますが、恒星を周回していない自由浮遊惑星でも表面に液体が保たれる可能性を示した研究成果が発表されています。

■豊富な放射性元素の崩壊熱で温められる

Manasvi Lingam氏(フロリダ工科大学)とAbraham Loeb氏(ハーバード大学)は、主星から遠すぎてハビタブルゾーンから外れている系外惑星や、惑星として形成された後に何らかの理由で恒星から離れてしまった「自由浮遊惑星」のような天体において、溶媒として知られる水、アンモニア、エタンが液体の状態で保たれる可能性を検討しました。自由浮遊惑星は天の川銀河だけでもかなりの数が存在するとみられていますが、恒星を周回していないことから検出が難しい天体です。

恒星から受け取るエネルギーがきわめて少ないか、そもそも受け取ることができない天体におけるエネルギー源として両氏が注目したのは、放射性元素の崩壊熱でした。原子力発電や核兵器などに使われる放射性元素は地球の地殻やマントルにも含まれており、崩壊するときに放出されたエネルギーは最終的にとなります。両氏の研究では、地球と同じ質量で表面が1気圧の天体を仮定した場合、放射性元素の量が地球の100倍であれば摂氏マイナス140度ほどの表面温度が長期間維持され、表面に液体のエタンが数億年以上保持される可能性が示されました。

また、地球の10倍の質量で放射性元素の量が地球の1000倍であれば、表面温度が摂氏30度ほどに落ち着き、表面に液体の水が同程度の期間保たれる可能性があることも示されています。こうした天体では強い放射線にさらされることになりますが、両氏は放射線に耐性を示す細菌デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)を例に、強い放射線のもとでも生命が存在できる可能性に言及しています。

両氏は、星々が密集している天の川銀河の中心付近では鉄より重い元素が生成される「r過程」を引き起こす中性子星どうしの合体(キロノバ)が比較的発生しやすく、研究で検討されたウラン238やトリウム232といった放射性元素を多く含む惑星が形成される可能性も高まると考えています。

なお、両氏によると、来年打ち上げが予定されているNASAの「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡であれば、このような天体が放つ赤外線を検出できる可能性があるとのことです。

 

Image Credit: Guillem Anglada-Escude – IEEC/Science-wave, using SpaceEngine.org.
Source: Science
文/松村武宏

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