現在太陽に向かって移動を続けている「アトラス彗星(C/2019 Y4)」。2019年12月に発見されたこの彗星、再来月には望遠鏡などを使わずに肉眼でも見える明るさに達するかもしれません。

■5月上旬~中旬、日が暮れたあとの西の空で見えるようになる可能性

3月22日に撮影された「アトラス彗星」(中央下)。右上に向かって尾が伸びている(Credit: Gerald Rhemann)

ハワイの小惑星地球衝突最終警報システム「ATLAS」によって発見されたアトラス彗星は、当初20等という暗さだったものの、太陽に近づくにつれて急速に明るくなっていき、今年3月中旬には9等にまで増光しています。一時は金星を上回るマイナス5等まで明るくなるという予報もありましたが、その後は増光のペースも落ち始めており、5月31日の太陽最接近時には0等前後の明るさに達すると予想されています。

執筆時点では観測するのに口径15cm(6インチ)以上の望遠鏡が必要とされているアトラス彗星ですが、太陽への最接近直前となる5月上旬から中旬にかけては、太陽が沈んだあとの西の空に1~3等(予想)で輝くアトラス彗星を肉眼で観測できる可能性があります。太陽への最接近後は南天へと移動するため、観測できる地域も南半球へと移ります。

Sky & Telescopeによれば、運が良ければ望遠鏡や双眼鏡を使わずにアトラス彗星の尾まで見えるようになるかもしれないといいます。ただし彗星の予測は難しく、過去の例として、太陽へ最接近した際に崩壊し消滅してしまった「アイソン彗星(C/2012 S1)」があげられています。楽しみな天体ショーですが、過剰に期待しすぎることなく待つのが良さそうです。

なお、アトラス彗星が注目される理由のひとつとして、1845年1月に2等星まで明るくなった「1844年の大彗星(C/1844 Y1)」にかなり近い軌道を描いていることがあげられます。どちらも約4000年の周期で公転する長周期彗星で、およそ5000年前に同じ彗星から分裂した破片とみられています。

 

Image Credit: Gerald Rhemann
Source: Sky & Telescope
文/松村武宏

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