超新星爆発によって誕生するとされる高密度の天体「中性子星」。今回、2017年に観測された中性子星どうしの合体を観測したデータから、その直径をこれまでにない精度で割り出した研究成果が発表されました。

■典型的な中性子星の直径は「20.8~23.8km」と算出

中性子星とハノーファーを比較したイメージ図(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

Collin Capano氏(アルベルト・アインシュタイン研究所、ドイツ)らの研究チームは今回、太陽1.4個分の質量がある典型的な中性子星の直径を「約22km」と算出しました。誤差を考慮すると20.8~23.8kmで、これは従来の研究によって求められた数値よりも正確なものとされています。

上の画像は、典型的な中性子星とアルベルト・アインシュタイン研究所があるドイツの都市ハノーファー(人口約53万8000人。2018年末時点、Wikipediaより)を比較したイメージ図。22kmというフルマラソンなら1往復できてしまうくらいの直径に、太陽より4割も大きな質量が押し込められているわけです。

今回の研究では、2017年8月に観測された「GW170817」のデータが用いられました。GW170817は中性子星どうしの合体にともなって発生する爆発現象「キロノバ」だったことが確認されており、重力波望遠鏡「LIGO」「Virgo」による重力波の検出をはじめ、可視光、赤外線、紫外線、X線といったさまざまな波長の電磁波でも観測されています。

GW170817では、私たちの生活に身近な元素でもある金や、エネルギー源としてだけでなく兵器にも用いられるウランといった「鉄より重い元素」が生成されるプロセス(r過程)が実際に引き起こされたことを支持する観測結果も得られており、同じ観測対象を電磁波や重力波のように複数の手段で観測する「マルチメッセンジャー天文学」が大きな成果をもたらした実例のひとつに数えられています。

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■ほとんどのブラックホールは中性子星を「丸呑み」することも判明

また、これまで重力波望遠鏡によって検出されてきた重力波のなかには、今回の研究成果に結びついた中性子星どうしの合体や、ブラックホールどうしの合体だけでなく、ブラックホールと中性子星の合体を示すものも検出されています。

今回の研究では、ブラックホールと中性子星が合体する過程についても分析が行われました。中性子星がブラックホールによって飲み込まれる前に破壊されることがあれば、キロノバのように電磁波で観測できる可能性があるからです。

しかし分析の結果、飲み込む前に中性子星を破壊するのは「とても小さいブラックホール」や「高速で自転しているブラックホール」に限られることが判明。ほとんどのブラックホールは中性子星を壊すことなく、いわば「丸呑み」してしまうとされており、重力波の検出後に電磁波で観測できる可能性は低いとみられています。

 

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Source: マックス・プランク研究所
文/松村武宏

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