4000個以上が見つかっている太陽系外惑星のなかには、太陽系では考えられないほど平均密度が低いものが幾つか見つかっています。今回、そのうちの一部が実は環を持っているのではないかとする研究成果が発表されました。
■環を持っているかもしれないのは「ケプラー87c」など3つの系外惑星
土星の平均密度(質量を体積で割った値)は、水よりも低い1立方cmあたり0.69g(1立方mあたり690kg)。密度の低さをわかりやすく伝えるために「水に浮かぶ」と表現されることもありますが、系外惑星のなかには平均密度が0.1g/cm3を下回るものも幾つか見つかっています。
Anthony Piro氏(カーネギー研究所、アメリカ)とShreyas Vissapragada氏(カリフォルニア工科大学、アメリカ)は、「綿菓子のようだ」とも表現されるこれらの低密度な系外惑星が実は「環」を持っているために、本来のサイズよりも大きな系外惑星として観測されているのではないかとする仮説を立てました。
系外惑星のサイズは主星(恒星)の手前を横切るトランジット現象を起こす際の明るさの変化をもとにして算出されます。Piro氏とVissapragada氏は、もしも系外惑星が環を持っていて、地球からは環が傾いて見える場合、環によって主星の光がさえぎられるために、系外惑星のサイズが実際よりも大きく見積もられるのではないかと考えたのです。
両氏が10個の低密度な系外惑星(平均密度は0.03~0.31g/cm3)について、環を持っていると仮定した場合の明るさの変化を複数の条件でシミュレートした結果、「ケプラー87c」「ケプラー177c」「HIP 41378f」の3つが環を持っている可能性があることが示されました。これらの系外惑星は主星の比較的近くを周回しているため、土星のような水の氷でできた環ではなく、岩や石でできた岩石質の環を持っているとみられています。
ただし、これらの系外惑星が実際に環を持っているかどうかを確かめるには、現在の観測手段では精度が不足しています。両氏は来年2021年に打ち上げ予定の「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡によって環の有無が確認されれば、このような系外惑星がどのようにして形成されたのか、その理解が深まると期待を寄せています。
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Image Credit: Robin Dienel and courtesy of the Carnegie Institution for Science
Source: カーネギー研究所
文/松村武宏