東京大学宇宙線研究所が建設を進め、昨年2019年10月に完成した大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」。KAGRAは完成後も感度調整と試運転が続けられていましたが、2020年2月25日に連続運転を開始し、観測がスタートしたことが発表されました。

■重力波望遠鏡はアジア初。地下に設置した低温の鏡で重力波を検出

KAGRA中央実験室内の様子(Credit: ICRR GW group)

KAGRAはアメリカの「LIGO(ライゴ)」、欧州の「Virgo(ヴァーゴ)」に次いで稼働する重力波望遠鏡で、ニュートリノ検出器「スーパーカミオカンデ」と同じ神岡鉱山跡(岐阜県飛騨市神岡町)の地下に建設されました。LIGOではワシントン州とルイジアナ州にそれぞれ建設された2つの重力波望遠鏡が使われているので、世界では4番目、アジアでは初の施設となります。

重力波を検出するために、KAGRAでは2組の「合わせ鏡」を使います。1つの合わせ鏡の間隔は3km離れていて、L字型に掘られたトンネルの各辺に1組ずつの合わせ鏡が設置されています。合わせ鏡の間ではレーザー光が往復していて、2つの合わせ鏡のレーザー光の波形を重ねて干渉する様子を調べることで、重力波を検出できる仕組みになっています(レーザー光の干渉を利用することから「レーザー干渉計」と呼ばれます)。

人間の活動や風・波といった自然現象によって引き起こされる振動を避けられる地下に建設したことで、KAGRAは振動の影響を地上で観測する場合の100分の1~1000分の1にまで減らしています。また、合わせ鏡には熱伝導率が高い人工サファイアが用いられており、摂氏マイナス253度の低温に冷やすことで鏡そのものの熱による振動を抑制し、検出精度を向上させています。

KAGRAの研究代表者であり東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章氏(2015年ノーベル物理学賞受賞)は、2010年に始まったKAGRAのプロジェクトを支援してきた人々への感謝を述べるとともに、観測精度のさらなる向上に引き続き取り組んでいくとコメントしています。

喜びに湧くKAGRAのコントロールルーム(Credit: ICRR)

 

Image Credit: 東京大学宇宙線研究所(ICRR)
Source: ICRR
文/松村武宏

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