太陽系最大の惑星である木星の周回観測を継続しているNASAの木星探査機「ジュノー」。今回、ジュノーによる軌道上からの観測によって、木星の赤道付近における大気中の水蒸気量が判明したとする研究成果が発表されました。

■赤道付近の水蒸気量を軌道上から測定

木星探査機ジュノーが接近時に撮影した木星の赤道付近(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. Gill)

今回、Cheng Li氏(カリフォルニア大学バークレー校)らの研究チームは、ジュノーに搭載されている観測装置のひとつ「マイクロ波放射計(MWR)」で得られた観測データを利用して、木星の赤道付近(赤道から北緯4度までの範囲)の深さ150kmにおける水の量を分析。その結果、木星の赤道付近における水分子の量は、大気を構成する分子全体のおよそ0.25%(誤差を考慮すると0.09~0.47%)であることが判明しました。これは、初期の太陽における水素と酸素の比率から予想される水の存在比の2.7倍(誤差を考慮すると1.0~5.1倍)に相当します。

今回の研究に先立つことおよそ四半世紀前の1995年12月、NASAの木星探査機「ガリレオ」に搭載されていたカプセルが木星の大気に突入。57分後に通信が途絶えるまでのあいだに、大気の最上層から数えて深さ120kmまでの風速、気圧、組成といった生の情報を初めて測定することに成功しました。このとき、少なくともガリレオのカプセルが突入した付近の大気は非常に乾燥しており、水蒸気の量は研究者の予想を大幅に下回っていたことがわかっています。

しかし、カプセルによって得られた水蒸気の測定値が通信途絶までのあいだに増え続けていたことや、大気が乾燥している場所にたまたまカプセルが突入した可能性が後に示されたこと、木星の大気で検出されるは通常なら水が関与して発生する現象であることなどから、実際の水蒸気量はガリレオのカプセルの測定値よりももっと多いのではないかと予想されていました。今回の研究結果は、この予想を裏付けるものとなります。

木星に存在する水の量を知ることは、木星がどのようにして形成されたのか、木星の内部がどうなっているのかを正しく理解する上で欠かせない情報です。ただし、今回の観測データは赤道付近の限られた領域からしか得られていないため、木星の大気全体の水の量を把握するにはデータが不足しているようです。研究を率いたLi氏は、今後のジュノーによる観測結果も分析し、「今回の結果を他の地域における観測結果と比較しなければならない」とコメントしています。

木星探査機ジュノーの想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. Gill
Source: NASA
文/松村武宏

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