1987年2月、岐阜県の神岡鉱山跡に建設されたニュートリノ検出器「カミオカンデ」は、大マゼラン雲で発生した超新星爆発「SN 1987A」から飛来したニュートリノを検出。計画を率いた小柴昌俊さんは2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。今回、カミオカンデの流れをくむ新世代のニュートリノ検出器「ハイパーカミオカンデ」の計画が正式に始動したと発表されています。

■26万トンの超純水を満たす検出器で素粒子物理学や天文学に貢献

ハイパーカミオカンデの検出器イメージ図(Credit: Hyper-Kamiokande Collaboration)

ハイパーカミオカンデは2019年10月に完成した重力波望遠鏡「KAGRA」と同じ、岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山跡の地下に建設されます。検出器の中核となるのは直径68m、深さ71mの巨大な円筒形のタンクで、その内部は26万トンの超純水(きわめて純度の高い水)で満たされます。

タンクの側面には合計4万本の超高感度光センサーが取り付けられ、超純水のなかで生じたチェレンコフ光を検出することで、ニュートリノを観測します。研究目的として、加速器を使って人工的に生成したニュートリノを観測することによる「CP対称性の破れ(※)」の測定や、宇宙空間から飛来するニュートリノの観測、理論上予測されている陽子崩壊の探索などが挙げられています。

※…この宇宙が「物質」で満ちていて、「反物質」が見当たらない理由のひとつとされる事象。

なお、現在稼働しているニュートリノ検出器「スーパーカミオカンデ」のタンクは、直径が39.3m、深さが41.4mで、内部を満たす超純水の量は5万トン。超純水の量が約5倍にスケールアップするハイパーカミオカンデでは、スーパーカミオカンデ100年分の観測データが約10年で得られるとされています。

ハイパーカミオカンデ計画は、35億円の初年度予算が計上されていた令和元年(2019年)度補正予算が成立したことで正式に始動しました。今後は検出器がおさまる地下空洞の掘削やタンクの建設などが進められ、7年後の2027年から運用が開始される予定です。

 

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Image Credit: Hyper-Kamiokande Collaboration
Source: Hyper-Kamiokande Collaboration
文/松村武宏

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