SETI研究所との提携が発表されたアメリカ国立電波天文台の「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)」(Credit: Alex Savello)

この宇宙には、人類以外にも知的生命体は存在するのでしょうか。ロシア生まれの資産家ユーリ・ミルナー氏の出資によってスタートした「ブレイクスルー・リッスン」は、多くの人々が抱くこの疑問の答えを得るべく、地球外知的生命体探査(SETI:search for extraterrestrial intelligence)を行っています。今回、ブレイクスルー・リッスンの観測によって得られた膨大なデータが、研究者や一般市民に向けて公開されました。

■天の川沿いや銀河中心付近の観測データを公開

カリフォルニア大学バークレー校に拠点を置くブレイクスルー・リッスンによって今回公開されたのは、あくまでも分析前の観測データであり、地球外知的生命体の存在を示す何らかの証拠が見つかったわけではありません(データにその証拠が含まれている可能性はあります)。合計約2ペタバイト(1ペタバイト=1024テラバイト)に及ぶ観測データは、アメリカのグリーンバンク天文台や、オーストラリアのパークス天文台にある電波望遠鏡などを使って収集されました。

地球外知的生命体の痕跡は、おもに天の川銀河の円盤に沿った領域(天の川沿い)を対象に捜索されています。天の川沿いの領域には恒星が集中しているため、この領域を観測すれば、地球外知的生命体による通信などをキャッチできる確率が高まると考えられるからです。

天の川沿いに加えて、天の川銀河の中心付近から電波が発信されている可能性も考慮した観測が実施されています。理由は、太陽のおよそ400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」の存在が確実視されているから。もしも恒星間を渡り歩けるほど進歩した地球外知的生命体がいたとして、彼らも別の知的生命体を探していると仮定したときに、「天文学的に注目を集めやすい超大質量ブラックホールの周辺から電波を出せば見つけてもらいやすい」と考えるのではないか、というわけです。

ブレイクスルー・リッスンによる観測では、星間空間を通過しやすく、地球外知的生命体が通信に利用するのではないかと予想されている周波数帯(1~12GHz)の電波などが選ばれています。なお、ブレイクスルー・リッスンが集めた観測データの一部は、一般市民でもボランティアとして参加できる分散コンピューティングプロジェクト「SETI@home」の分析対象となっています。

■SETI研究所とカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群の連携も発表

観測データの公開にあわせて、昨年2019年12月に太陽へ最接近した恒星間天体「ボリソフ彗星(2I/Borisov)」を対象に実施された観測結果も発表されています。恒星間天体が地球外知的生命体の建造した宇宙船や探査機ではないかとする予想を検証するためのものでしたが、2017年に発見された恒星間天体「オウムアムア(’Oumuamua)」の時と同様に、ブレイクスルー・リッスンによる観測では知的生命体を示す痕跡は見つからなかったようです。

また、同じ地球外知的生命体探査を実施する組織の動きとして、アメリカ国立電波天文台(NRAO)と、民間からの出資によって運営されているSETI研究所の提携も発表されています。この提携によりSETI研究所は、NRAOが運用するカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)によって今後得られる科学観測データだけでなく、過去の観測によって得られたデータにもアクセスして分析することが可能となります。

VLAといえば、プエルトリコのアレシボ天文台とともに、地球外知的生命体探査がテーマの映画「コンタクト」にも登場したことがある観測施設です。劇中と同様に地球外知的生命体探査に参加することになりましたが、現実のVLAは何らかの証拠をキャッチすることになるのでしょうか。

 

Image Credit: Alex Savello
Source: ブレイクスルー・イニシアチブ / カリフォルニア大学バークレー校
文/松村武宏

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