330光年先の500万歳。宇宙規模では「近くて若い」太陽系外惑星を発見

およそ138億年前に始まったとされる宇宙の歴史を振り返れば「わずか」と言える、誕生から数百万年しか経っていないとみられる巨大な太陽系外惑星が見つかりました。その場所は太陽系に比較的近く、惑星形成の謎を解き明かす上で貴重な情報が得られると研究者は期待を寄せています。

■質量は木星の10倍、主星から遠く離れている理由は不明

【▲若く巨大な系外惑星「2MASS 1155-7919 b」(左)の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC-Caltech))】

Annie Dickson-Vandervelde氏(ロチェスター工科大学、アメリカ)らの研究チームが発見したのは、南天の「カメレオン座」の方向およそ330光年先、木星の10倍ほどの質量を持つ巨大な系外惑星「2MASS 1155-7919 b」です。この系外惑星は赤色矮星「2MASS 1155-7919」の周囲を公転しています。

今回見つかった系外惑星が周回する赤色矮星は、誕生から300万~500万年しか経っていないとみられる若い星のグループ「カメレオン座イプシロンアソシエーション(epsilon Chamaeleontis Association)」に属しています。研究チームはこのことから、今回発見された巨大惑星も誕生から長くても500万年ほどしか経っていないと考えています。

未解決の謎として提示されたのは、その軌道です。今回見つかった2MASS 1155-7919 bは、主星から約600天文単位(太陽から地球までの距離の600倍)も離れたところを周回する軌道を描いているとみられています。主星から大きく離れたところを周回する系外惑星はこれまでにも「HD 106906 b」などが見つかっていますが、こうした惑星がどのように形成され、現在の軌道で観測されるようになったのかについては、今も議論が続いています。

Dickson-Vandervelde氏らは、主星から遠く離れた系外惑星の形成に関する新たな知見を得るためにも、地球に比較的近く、また年齢も若い2MASS 1155-7919 bに対する追加観測の必要性を強調しています。

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC-Caltech)
Source: ロチェスター工科大学
文/松村武宏