「わたしはカモメ」とは史上初の女性飛行士となった旧ソ連のワレンチナ・テレシコワさんが1963年に残した言葉ですが、もしかしたら宇宙には本物のカモメがいるのかもしれません。ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた新たな天体写真には、鳥のように羽を広げる不思議な天体が映しだされています。
ネタ明かしをすると、この天体は「Hen 2-437」と呼ばれる惑星状星雲の一種です。Hen 2-437ははくちょう座やペガサス座の近くにあるこぎつね座の一角に位置する星雲で、1946年に発見されました。明るさは15等級となっており、肉眼で観察するのは無理そうです。
惑星状星雲とは恒星が放出したガスが、中心の白色矮星から放出された紫外線によって光り輝いている天体です。その中でもHen 2-437は双極性星雲と呼ばれ、上の画像のように対となる形状のローブを持っています。Hen 2-437のものは鳥の翼のような、武器のような…青白い色もあいまって、なんともシンプルかつ美しい形状ですね。
なお、太陽やそれに近い質量の恒星は最終的に大爆発(超新星爆発)を起こさず、縮小して非常に高密度な白色矮星になると言われています。いずれ太陽もこのような惑星状星雲になるのかもしれませんが、それを人類が観察することはできるのでしょうか?
※この記事は2016年3月にsoraeで公開したものを再掲載したものです。
Image Credit: ESA
Source: space.com
文/塚本直樹