「花火銀河」の名で知られる渦巻銀河「NGC 6946」(Credit: NASA, ESA and L. Ho (Peking University); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))

青白い星々の渦に赤い斑点が散りばめられたようなこの天体は、北天の「ケフェウス座」と「はくちょう座」のあいだ、およそ1500万光年先にある渦巻銀河「NGC 6946」です。1798年にウィリアム・ハーシェルによって発見されました。

NGC 6946は地球から見ると真上から見下ろせるような位置関係にあるため、明るく輝く中心部分のバルジ(銀河バルジ)と、その周囲を囲んでいる渦巻腕の構造がはっきりと見える銀河のひとつです。その美しい姿から名付けられた「花火銀河」の別名でも知られています。

あちこちに見える赤い部分は、誕生したばかりの若々しい恒星が放つ紫外線によって、その周囲の水素ガスが輝いている星形成領域です。花火銀河ではバルジの周辺から渦巻腕の先端に至るまで無数の星形成領域が存在しており、活発な星形成が行われていることを示しています。

見事な渦を巻く花火銀河ですが、円盤部の直径は天の川銀河の半分となる約5万光年ほど。星形成活動は円盤部だけにおさまらず、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」を使った観測では、円盤部の外側でも星が形成されていることが判明しています。

また、花火銀河では1917年から100年ほどのあいだに10回もの超新星爆発が観測されていて、学術的にも注目を集めています。2019年には可視光線(人の目に見える光)を伴わずに突如としてX線を強く放つ天体が出現したことが報告されており、ブラックホールによって小さな恒星(あるいは大きな惑星)が破壊されたか、あるいは中性子星の表面に物質が落下した際に生じたX線である可能性が指摘されています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)および以前搭載されていた広域惑星カメラ2(WFPC2)によって撮影されました。花火銀河は、イギリスのアマチュア天文家サー・パトリック・ムーア氏によって1980年代にまとめられたアマチュア天文家向けの天体カタログ「Caldwell Catalog(カルドウェルカタログ、またはコールドウェルカタログ)」に「Caldwell 12」として登録されています。

すばる望遠鏡によって撮影された花火銀河の全体像(Credit: 国立天文台)

 

Image Credit: NASA, ESA and L. Ho (Peking University); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)
Source: NASA
文/松村武宏

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