砂鉄を撒いた机に棒磁石を置くと、N極とS極を結ぶ曲線のようなもの(磁力線)が見えてきます。学校の実験や教科書で見たことがある人も多いと思いますが、これは目に見えない磁力線を砂鉄によって見えるようにしたものと言えます。上の画像はくじら座の方向、約4700万光年先に位置する渦巻銀河「M77」ですが、可視光で観測したもの・X線で観測したものに加え、M77の磁場(磁界)の様子を重ねたものです。もちろん、遠く巨大な銀河に棒磁石を置いてみることはできません。では、どのようにして磁場の情報を可視化したのでしょうか?

この画像を作るのに使用されたのはハッブル宇宙望遠鏡と「SDSS」(スローン・デジタル・スカイ・サーベイ)プロジェクトによる観測(ともに可視光)、NASAのX線宇宙望遠鏡「NuSTAR」(ニュースター)による観測(X線)、そしてボーイング747を改造したNASAの成層圏天文台「SOFIA」に搭載された観測装置「HAWC+」です。HAWC+は偏光した赤外線を観測します。観測する対象に磁場があると「偏光」と呼ばれる現象が生まれるため、これを利用して磁場を測定するのです。

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偏光した赤外線はM77の「腕」に沿って回転するダストから放射されるため、特に可視光では見えにくい領域では渦巻銀河の腕をトレースするようなツールとして使うことができると言われています。画像でも、筋状に見える磁場が渦巻きに沿っているように見えますね。M77ではガスの流れやダスト、星々が銀河の重力による影響を受けて密度の濃い部分・薄い部分を形成している可能性が調査されました。磁場を観測することにより、渦巻銀河の腕がどのように作られ、どのような役割を担っているかという進化を調べるのに役立つのかもしれません。

Image Credit: NASA, SOFIA, HAWC+; JPL-Caltech, Roma Tre. U.; ESA, Hubble, NuSTAR, SDSS
Source: NASA
文/北越康敬