2018年7月から観測を行っているNASAの系外惑星探査衛星「TESS」によって、100光年先に地球サイズの太陽系外惑星が新たに見つかりました。この系外惑星は表面に液体の水が存在し得るハビタブルゾーンに位置するとみられており、将来の観測における重要なターゲットとなりそうです。

■恒星TOI 700で見つかった3つの系外惑星のひとつ

系外惑星「TOI 700 d」の想像図(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

今回見つかった系外惑星は、南天の「かじき座」の方向およそ100光年先にある赤色矮星「TOI 700」を周回しています。TESSの観測によってTOI 700には3つの系外惑星の存在が判明しましたが、注目されているのは3つのうち一番外側を公転する「TOI 700 d」です。

地球の約1.2倍のサイズを持つTOI 700 dは、主星(TOI 700)を37日半ほどで公転する軌道を描いています。この軌道はTOI 700のハビタブルゾーンに位置しており、表面温度は摂氏マイナス4度ほど(誤差プラスマイナス約7度)と推定されています。ただし、この温度は大気の存在を考慮しない場合の値であるため、もしもTOI 700 dに適度な大気が存在していれば、その表面には液体の水が存在している可能性があります。

残る2つの系外惑星のうち最も内側を公転する「TOI 700 b」地球とほぼ同じサイズを持っていますが、約10日で一周する主星に近い軌道を描いているため、表面温度は摂氏130度以上とみられます。また、TOI 700 bとdの間にある「TOI 700 c」地球の約2.6倍のサイズを持っており、海王星のようにガスが豊富な惑星である可能性も指摘されています。

■今後の観測で大気の存在やその組成が明らかになる?

恒星「TOI 700」を周回する3つの系外惑星の軌道を示した図。TOI 700 dは緑色で示されたハビタブルゾーンを公転している(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

地球サイズでハビタブルゾーンに位置する系外惑星となると、やはり気になるのが生命の存在です。仮にTOI 700 dに大気が存在し、表面に液体の水がたたえられていれば、地球の生命を基準とした場合に快適な環境が保たれているかもしれません。

ただ、TOI 700 dの大気の検出は難しいようです。Gabrielle Englemann-Suissa氏らの研究チームがまとめた論文によると、来年2021年に打ち上げられる予定の「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡をもってしても、大気の有無は判明しない可能性が高いとされています。

いっぽう同論文では、TOI 700 dが持ちうる環境を20種類シミュレートした結果、条件によっては「TRAPPIST-1e」「プロキシマ・ケンタウリb」といった系外惑星よりも住みやすい環境を持つ可能性を指摘しています。

また、赤色矮星では惑星の環境に重大な影響を与える強力なフレアが生じることも考えられますが、Emily Gilbert氏らの研究チームは主星のTOI 700を「大人しい星だ」としており、TESSによる11か月間の観測データからはフレアが確認されなかったとしています。

TOI 700 dの環境がすぐに判明する可能性は低そうですが、生命が住みやすい環境を保っているかもしれない系外惑星のひとつとして、今後の重要な観測対象となることは間違いありません。

 

関連:生命居住可能領域にある太陽系外惑星で水蒸気を初検出

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Source: NASA
文/松村武宏

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