宵の明星、明けの明星として古くから親しまれてきた金星。地球とほぼ同じサイズでありながらも過酷な環境を持つ金星で、現在も火山活動が継続している可能性を示した研究成果が発表されました。

■カンラン石の風化速度を実験で検証

金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic)

1990年代に観測を行ったNASAの金星探査機「マゼラン」によって、金星の地表には火山や溶岩流でできた地形が存在することが判明しました。その後打ち上げられたESA(欧州宇宙機関)の金星探査機「ヴィーナス・エクスプレス」による観測データから、一部の溶岩流はおよそ250万年前に噴出したものとみられていましたが、火山活動の正確な年代については明らかになっていませんでした。

今回、Justin Filiberto氏(月惑星研究所、アメリカ)らの研究チームは、火山活動によって噴出した溶岩流が金星表面においてどのように風化していくのかを、実験によって検証しました。

金星の地表は気温が摂氏およそ480度気圧が約90気圧という地球とはまるで異なる環境です。そんな金星の地表において溶岩流が時間とともに変化する様子を知ることは、火山活動が起きた時期を推測することにつながります。実験の結果、鉱物の一種である「カンラン石」(溶岩流として噴出する玄武岩に豊富に含まれる)が金星の大気と急速に反応し、数週間ほどで磁鉄鉱や赤鉄鉱に覆われていくことがわかりました。

研究チームは今回の実験結果をもとに、金星に関する過去の研究結果を検証しました。その結果、軌道上のヴィーナス・エクスプレスによって観測された溶岩流の一部が、観測時点で噴出から長くても数年ほどしか経っていなかった可能性が示されました。この結果が正しければ、金星では現在も活発な火山活動が続いていることになります。

■過去に観測された二酸化硫黄の変動は火山活動によるものだった?

金星の南半球にある火山、イズン山周辺の様子。金星探査機マゼランの観測データから作成、高さは30倍に強調(Credit: NASA/JPL-Caltech/ESA)

金星の火山活動が現在も継続している可能性は過去にも示されてきました。1980年代にはアメリカの金星探査機「パイオニア・ヴィーナス・オービター」が、金星大気中の二酸化硫黄の量が5年間で10分の1に減少していることを確認。ESAのヴィーナス・エクスプレスも、2007年から2012年のあいだに二酸化硫黄の濃度が一桁減少する様子を観測しています。

2つの探査機が観測したのは、火山活動によって一時的に増えた大気中の二酸化硫黄が、活動がおさまるにつれて徐々に減っていく過程だったと解釈する説がありました。研究チームはScience Advancesに掲載された論文のなかで、今回の結果が示した若い溶岩流は、ヴィーナス・エクスプレスによって減少が確認された大気中の二酸化硫黄をもたらしたのと、同じ噴火によって噴出した可能性に言及しています。

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ESA
Source: USRA
文/松村武宏

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