9月12日、「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」によって撮影された土星の最新画像が公開されました。太陽系でも唯一無二の大きな輪を持つ土星の姿が見事に写し出されています。
■土星を巡る5つの衛星も動画で撮影
今回撮影された画像は、2014年に始まった「OPAL(Outer Planet Atmospheres Legacy)」プログラムによって2019年6月20日に撮影されました。同プログラムでは今年8月に木星の最新画像が公開されている他に、2月にもポップキャンディーのような天王星の姿が公開されています。
7月10日に「衝」(しょう、地球の外側を公転する惑星などが地球に一番近付くタイミング)を迎える直前という比較的良好なタイミングで撮影されたということもあり、画像には輪の微細な構造がはっきりと写されています。北極域にはジェット気流によって形成される特徴的な六角形の模様がみられますが、昨年2018年に撮影された画像に白く写っていた大きな嵐は確認できなくなっています。
また、8月の木星画像では木星が自転する様子の動画もあわせて公開されましたが、今回は土星の衛星のうち「テティス(Tethys)」「ヤヌス(Janus)」「ミマス(Mimas)」「エンケラドゥス(Enceladus)」「レア(Rhea)」の5つが土星を公転する様子をおさめた動画が公開されています。
2年前にミッションを終えた土星探査機「カッシーニ」以降、周辺で活動する探査機はなく、今はこうしてハッブルや地上の望遠鏡から遠望するしかない土星ですが、その衛星タイタンの空を飛ぶドローン「ドラゴンフライ」による探査ミッションが現在計画されています。ドラゴンフライの打ち上げは2026年、タイタンへの到着は2034年になる予定です。
Image Credit: NASA, ESA, A. Simon (Goddard Space Flight Center), and M.H. Wong (University of California, Berkeley)
Source: spacetelescope - NASA
文/松村武宏